7年ぶりに開かれた核不拡散条約(NPT)の再検討会議が決裂に終わった。
しかし、大騒ぎする必要など何もない。
そもそも、前回(2015年)の再検討会議も不毛に終わっている。
しかも、今回はロシアのウクライナ侵攻で、米国とロシア、中国が真っ向から対立し、その対立は激しくなる一方の中で開かれた。
まとまる可能性など、はじめからなかったのだ。
それを皆知っていたはずだ。
そして、米国とロシア・中国の対立は、終わるどころか、これから長きにわたって世界を二分する対立になろうとしている。
今回が、最後の核不拡散条約の再検討会議になるおそれすらあるのだ。
しかし、失望する必要などまったくない。
そもそも、核不拡散条約は、読んで字のごとく、これ以上核保有国を増やさないという条約だ。
言い換えれば、核保有国が核を独占し続ける事を認めた条約なのだ。
それ自体が、不要で有害なのである。
我々が真っ先に目指すべきは、世界から核兵器をなくすことだ。
そしてそれを目指す条約が2017年に国連総会で採択され、2021年に発効している。
それを働きかけた関係者がノーベル平和賞まで貰っている。
我々がなすべきは、すべての核保有国にその条約への加盟を求め、文字通り地球上から核兵器を全廃することだ。
そして、世界で初めて核兵器をつくり、それを人類に使った唯一の国である米国こそ、率先して核兵器禁止条約に入るべき国なのだ。
そしてそれを迫る事ができるのは、唯一の被爆国である日本だ。
私は今回の核不拡散条約の再検討会議が不毛に終わったことを敢えて歓迎する。
核不拡散条約などもはや不要だ。
核兵器禁止条約ひとつで十分だ。
核保有国を核兵器禁止条約に加盟させて世界から核兵器をなくす。
その事に、その事だけに、世界は専念すればいいのである。
その出発点になったのが、今度の核不拡散条約再検討委会議の失敗だったと受け止めればいいのである(了)
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