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ペロシ下院議長の台湾訪問危機の落としどころを考える

 

 ついにペロシ下院議員はアジア歴訪の旅に出た。

 果たしてペロシ下院議員は台湾を訪問するのか。

 その事について、ペロシ下院議員は7月31日に発表した中で何も触れていない。

 なぜか。

 それは問題をこれ以上大きくさせたくなかったからだ。

 無理もない。

 ペロシ下院議長が8月上旬に訪台すると英字紙がすっぱ抜いて以来、中国の反発のあまりの大きさに動揺したからだ。

 きょうの産経が一段の小さな記事で共同通信を引用してこう報じた。

 中国共産党機関紙の英語版である環球時報の胡錫進前編集長は、ペロシ下院議長が正式発表する前に、ペロシ下院議長が中国軍の妨害を無視して訪台を強行するようなら撃ち落とせと英語でツイートしたと。

 しかし、規定違反だと警告されたためすぐに削除したと。

 それでいいのだ。

 すぐに削除しても、一旦警告した脅しは、効果十分だ。

 ペロシ下院議員の台湾訪問危機は、1962年のキューバ危機をはるかにしのぐ戦争前夜の危機だ。

 しかもあの時と立場は逆転だ。

 圧倒的に強い米国の脅しにソ連は屈服せざるを得なかった。

 しかし、今度は弱体化したバイデンの米国を毛沢東を超える習近平の中国が脅している。

 はたしてペロシ下院議長は訪台できるのか。

 もし訪台すれば習近平の面目は丸つぶれだ。

 ただでは済まない。

 しかし、もしペロシ下院議長が台湾訪問を取りやめれば、中国の脅しに屈したことになる。

 ひとり、バイデン政権やペロシ下院議長の面子の問題にとどまらない。

 米国が中国に屈した事になる。

 米国の世論が許さない。

 どっちに転んでもただでは済まない。

 果たしてペロシ下院議員は訪台するのか、しないのか。

 きょうの各紙を見ても、どれ一つとしてその事を書かない。

 それどころか、ペロシ下院議長の台湾訪問報道が、まるで一段扱いの小さなものに終わっている。

 あまりに大きな問題であり、あまりにも予測困難であるから、メディアは何も書けないのだ。

 ならば私が勝手に答えを書く。

 その答えは、7月31日の正式発表の中にある。

 その中では台湾の国名は明記されていなかった。

 訪問国として明記されたのは、シンガポール、マレーシア、韓国、日本だけだ。

 これが公式訪問国なのだ。

 もしペロシ下院議長が台湾を訪問しても、それはペロシ下院議長の私的な訪問であって、ひとつの中国を守るという米国のこれまでの方針に変わりはないと、バイデンの米国は言い訳できる。

 そして、ひとつの中国を守るとバイデンの米国に言われたら、習近平の中国は、ダブルスタンダードだ、言ってることとやってることが違うじゃないか、などと、どんなに激しく非難しても、軍事行動をとるには及ばない、となる。

 おたがいに面子を保つことができる。

 まさしくこれこそが、バイデン大統領と習近平主席の2時間を超える7月28日の電話首脳協議の合意だったのだ。

 米国と中国は、これからも、激しく対立を続けながら、台湾有事だけは避けようとするだろう。

 そんな米中の外交ゲームに振り回されるだけの日本はあまりにも情けない(了)

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