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ペロシ米下院議長の訪台問題に振り回された米中電話首脳協議


 7月28日に行われたバイデン大統領と習近平主席の電話首脳協議は、何一つ進展なく物別れに終わったようだ。

 昨日早朝のNHKニュースがそう第一報を報じ、そして、今朝の各紙がまるで判を押したようにその事を繰り返して報じている。

 それなら、そんな無意味な首脳協議を、なぜ行う必要があったのか。

 それを教えてくれる記事はどこを探しても見つからない。

 そう思っていたら、きょう7月30日の毎日新聞の「米議長訪台計画 火種に」と言う見出しの特集記事の中に、次のようなくだりを見つけた。

 すなわち、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が6月中旬、中国の外交担当トップである楊ケッチ政治局員と会談した際、米中首脳協議を提案し、今月(7月)9日の(王毅・ブリンケン国務長官による)米中外相会議で中国側が日程を示したと。

 ところが、その後、英紙フィナンシャル・タイムズがペロシ米下院議長の台湾訪問計画を報じたと。

 そして中国がこの報道に猛反発し、一気に米中関係が緊迫したというのだ。

 そう言えば思い当たる節がある。

 結果的には7月28日に行われることになったバイデン大統領と習近平主席の首脳協議だが、その時期について、バイデン大統領は何度も言及していた。

 そして、突然7月28日に行われることになった。

 その間、米中間で何が行われていたのか。

 ズバリ、ペロシ下院議長の訪台問題についての水面下での話し合いだ。

 これも過去の報道を思い越せば容易に推測がつく。

 中国の反発は激しさを増し、もしペロシ議長が訪台するようだとその気好機を飛行機を撃墜するとまで中国が脅かしたという報道があった。

 バイデン大統領が、ペロシ訪台は好ましくない、米軍が反対している、と弁解がましい発言をした事も報道された。

 つまり、英紙ファイナンシャル・タイムズがスクープ報道した一つの記事が、米中首脳協議で何らかの進展を図ろうとする米中の思惑の最大の障害になったのだ。

 それどころか、ペロシ訪台がきっかけで、不測の事態だ起きる危機さえ出て来たのだ。

 こうなれば、一刻も早く、このペロシ議長の訪台問題でバイデン・習近平電話協議を行う必要がある。

 そして、28日に開かれた首脳協議では「その事」ばかりが話し合われたのだ。

 それでは、「その事」について、バイデン・習近平間でどのような合意がなされたのか。

 その答えはもうすぐわかる。

 ペロシ議長は29日から日本を含むアジア歴訪を始めるからだ。

 いまのところ、訪問先には日本の外に韓国やシンガポールは入っていても、台湾は未定のままだ。

 もし、台湾が除外されるようなら、今度の首脳協議で米国が譲歩したということだ。

 バイデン大統領がペロシ議長を説得した事になる。

 しかし、米国側は政府と議会は別だと繰り返している。

 おまけにペロシ議長は大統領の言う事も聞かないほどの強い政治家だ。

 中国の人権問題に誰よりも厳しい態度を取っている。

 もし台湾訪問をペロシ議長が強行したらどうなるか。

 まさしく、その可能性があるからこそ、バイデンは習近平とペロシの出発前の28日に首脳協議する必要があったのではないか。

 そして、次のように習近平に伝えたのではないか。

 つまり、ペロシ議長の訪台は米政府としても好ましくないと考え中止を申し入れている。

 しかし、米国は大統領と議会はそれぞれ独立し、干渉できない事になっている。

 ペロシ議長が訪台を強行しても、それは米国政府の意向ではない。

 米国政府はあくまでも一つの中国の方針を守る。

 台湾問題はあくまでも平和的に解決するしかないと考える。

 だからもしペロシ議長が訪台を強行しても、それが米中の軍事的対立に発展するようなことだけは避けたいと。

 つまり、今度の米中首脳協議は、ペロシ議長の訪台問題に集中した緊急協議だったのだ。

 英国紙が報じたペロシ議長の訪台計画に振り回された首脳協議いだったのだ。

 この私の推測が当たっているかどうかはもうすぐわかる。

 ペロシ議長の台湾訪問が無ければ米国が譲歩したことになる。

 そしてペロシ議長が訪台を強行しても、もし中国が、その飛行機を、撃墜すればそれで終わりだが、強制着陸を命じたり、自らの軍用機を並行飛行させて威嚇するなどの軍事行動を一切とらないなら、中国が米国に譲歩したことになる。

 いずれにしても、米中対立は更に続き、バイデン・習近平の対面首脳会談は必ずそのうち実現する。

 今度の首脳電話協議で唯一合意を見た事は、対面首脳会談を行う合意であったという。

 この冗談のような結果は、そういう事だったのだ。

 そう私は考える。

 さすがに二大超軍事覇権国である。

 米中のせめぎ合いは限りなく、真剣で、激しいのだ。

 対米従属の日本の出る幕はない。

 だから私は繰り返し主張するのだ。

 日本は憲法9条を誇りにして、自主、自立した平和外交に徹するべきだと。

 これこそが最強で最善の、米国にも中国にも負けない、日本の外交・安保政策である。

 それに気づく指導者が出て来なくてはいけない(了)

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