6月27日の共同が次のような記事を配信した。
東南アジア諸国連合(アセアン)の首脳が6月26日電話会談し、議長国であるベトナムが、コロナ対策で各国が苦心する中でも南シナ海進出の動きをやめない中国を念頭に、「無責任な行動が地域の安定に影響を与えている」と指摘したと。
中国と比較的良好なフィリピンやインドネシアも懸念を表明したと。
このニュースを読んだとき私は思った。
中国と敵対してきたベトナムが議長国であるということを割り引いても、アセアン首脳が一致して中国の南シナ海進出に懸念を表したということは中国に対する効果的な牽制になる。
願わくば米国や日本がこのアセアン首脳の中国けん制に口を挟まないことだと。
なぜならば、中国に対して敵対関係にない弱者のアセアン諸国がこぞって中国の海洋進出を批判することは、中国にとって強い抗議になるからだ。
それでも中国が海洋進出をやめないなら、中国がアセアン諸国にどう釈明しようとも、説得力がないからだ。
中国が悪いと世界は思う。
これこそが最強の中国覇権主義に対する抑止力だ。
ところがきょう6月29日の共同が配信した。
ポンペオ米国務長官は27日、このアセアン首脳の主張を歓迎するとツイッターで表明したと。
近く米国も同様の声明を発表する方針を明かしたと。
すべてがぶち壊しだ。
中国に対する格好の口実を与えることになる。
ベトナム戦争であれだけ米国にひどい目にあわされてきたベトナムが、いまや米国の傀儡になって米国のアジア進出の片棒を担がされていると。
米国はベトナムを使ってアジアを支配するような下手な芝居はやめよと。
いずれ中国はそう言いだすだろう。
たとえ米国が裏で何もしていなくても(そんなことはあり得ないが)、中国にそう反論する口実を与えてしまう。
中国批判はアセアン首脳に任せておけばいいのだ。
そうしたほうが、はるかに中国にはボディブロウのようにこたえる。
米国はつくづく外交下手だと思う。
そして外交下手だからすぐに軍事行動に出る。
対米追従の日本が同じような声明を出さないことを願うばかりだ(了)
Comment On Facebook