こんなに早く、トランプ大統領がみずから言い出した6月サミットを撤回するとは思わなかった。
次は、「サミットなんか止めてやる」と言い出すに違いない。
その事について書いてみる。
そもそも、コロナ危機で今年のサミットは電話会議になる事が決まっていた。
議長国である米国のトランプ大統領も、3月の時点ではそれを認めていた。
ところが、5月20日に突然、ツイッターで通常開催を行うと言い出した。
いくらトランプ大統領でもこれは無いだろう。
コロナ感染は収まっていない上に、議長国である米国が感染者数も死者数も、断トツで一位だ。
そんな米国でどうして首脳が集まる事が出来ると言うのか。
そう思っていたら、さすがにメルケル首相だ。
いちはやく、出席できない、と言い出した。
それに激怒したトランプ大統領は、もしメルケル首相だけが欠席するだけだったら、6月末の米国開催を決行したに違いない。
あんな女なんて欠席してもらったほうが良かった、と言って。
ところがカナダのトルドー首相も慎重姿勢を示し、ほかの首脳も態度を明らかにしようとしない。
出席すると言ったのは、わが安倍首相と英国のジョンソン首相ぐらいなものだ。
それを見て、さすがのトランプ大統領も、わずか10日で、6月開催は止めると言い出した。
今度はツイッターではなく、大統領専用機で移動中に記者団に言い出したのだ。
いつまでたってもまともな発表の出来ないトランプ大統領だ。
しかし、今度の発表は、6月開催より、もっと賛同が得られない非現実的なものだ。
まず開催タイミングだ。
9月の国連総会のころか、11月の大統領選挙の前後だという。
あり得ないタイミングだ。
大統領選挙に負けても大統領の任期は翌年の1月まであるから、議長を務めるといっているのだ。
それとも、大統領選の前に開催して大統領選を有利に運ぼうとするつもりなのか。
もっとあり得ないのは参加国の拡大だ。
ロシア、豪州、インド、韓国を呼ぶと言う。
こうなれば、もはやG7サミットではない。
そもそもG7サミットは、価値観を共有した西側先進主要国の首脳が集まる会議だった。
この顔ぶれだと性格がまるで異なったものになる。
NATOに敵対するロシアを入れたサミットは自己矛盾だ。
インドや豪州を入れて中国を排除するのは、明らかに中国包囲網のサミットだ。
韓国を入れようとするのは米韓同盟の踏み絵を韓国に踏ませるものだ。
こんな下心満載の首脳会議では、メルケル首相だけでなく、文句を言う首脳は他にも出てくるだろう。
いや、ほとんどの首脳が異議を唱えるだろう。
どんな会議になっても、「欠席する選択肢はない」などという馬鹿な事をいう首脳は、日本の安倍首相ぐらいだ。
異論噴出を見たトランプ大統領は、そのうち言い出すだろう。
「サミットは中止だ」と。
私はかつてトランプ大統領が議長国になったとき、サミットはなくなると予言した。
もはやG7だけで世界を動かす時代はとっくに終わっていた。
だからこそG20も出来たし、その他にも様々な首脳会議が出来て来た。
皆、G7を止める時が来たと内心考えながら、自分が議長になった時にはそれが言い出せないまま、惰性できょうまで開かれて来たのだ。
しかし、トランプ大統領ならそれができる。
こう私は予言した。
そして、それがいままさに実現しようとしているのだ。
止めないでほしいと懇願するのは安倍首相ひとりになる(了)
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