最初にことわっておくが、私は公明党に頼まれて御用記事を書いているのではない。
それどころか、私は17年ほど前の「さらば外務省」(講談社)で書いた時に、その内容の一部をネタに、名誉棄損で訴えるぞと公明党から脅かされた関係だ。
私にとっては決して許す事の出来ない公党である。
しかし、そんな私が、今度のコロナ政局の最大の勝者は公明党だとあえて書いているのである。
いよいよ5月に入ってひとり一律10万円が給付される。
なんだかんだいっても、この10万円の給付行き渡る5月末になれば、たとえ焼け石に水とはわかっていても、ありがたいと皆が感じるだろう。
おそらく、コロナ危機始まってはじめて国民が実感する、政府がやってくれた唯一の「善政」となる。
それを最初に言い出したのは野党だったとか、自民党若手議員だったとか、二階幹事長だったとか、いろいろ言われているが、連立政権離脱も辞さずと覚悟を決めて安倍首相に迫り、人の言う事を聞かないあの安倍首相を翻意させたのだから、山口公明党代表はよくやったと、国民は思う。
そして、いまや安倍首相はコロナを乗りきるのが最優先だ。
そして、コロナを乗り切るには、国民生活救済がすべてだ。
もし公明党がこの10万円給付をきっかけに、どんどんと安倍首相に国民優先の政策を迫り、そして安倍首相がそれに応じていくとすれば、安倍自公政権は盤石になる。
なにしろ、公明党とおなじく平和と弱者救済を標榜する共産党の出番が無くなるから、あとは皆自公についていくしかない。
もし公明党が、このままポストコロナ危機になっても平和と弱者の為に政策を自民党に実現させるようになれば、ポスト安倍にどのような首相が就こうとも、そして政権交代が起きても起こらなくても、公明党は政権政党にとどまり続けることが出来るようになる。
これからの日本の政治は、ますます単独政権が難しくなる。
どんな政党が政権をとっても連立政権にならざるを得ない。
その場合、公明党が本来の平和政党、弱者の政党になるかぎり、連立政権からはじき出される事はないのだ。
その一方で共産党の連立政権入りの可能性はますますなくなる。
もちろん、公明党と共産党がともに仲良く政権政党に入れば別だがそうはならない。
かつてはどこまでも自民党についていく下駄の雪と揶揄されてきた公明党だが、本来の平和と弱者の政党に戻れば公明党が自民党を動かすようになるのだ。
それを予見させた公明党こそ、今度のコロナ政局の最大の勝者なのだ。
こう書けば、公明党の未来は盤石に見える。
しかし、そうではない。
それどころか、いま公明党は結党以来の最大の問題を抱えている。
公明党が今行っているすべては、その問題から逃げるためなのだ。
この続きは次回で書くことにしたい(了)
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