私はコロナ危機が起きる前から、安倍首相の4選はないと言い続けてきた。
たとえトランプ大統領が再選されようと、2021年9月の総裁選まで1年以上ある。
それで十分なのだ。
予定通り、今年の9月に東京五輪が開催されば、それを花道に後は岸田禅譲に専念する。
それが安倍首相の考えだった。
ところが、コロナ危機で東京五輪が開催されなくなった。
東京五輪が開催されなくなれば、名誉ある退陣がなくなる。
だから何としてでも東京五輪の1年延期を実現し、それまで頑張る。
これが、安倍首相が森元首相に伝えた本音だ。
しかし、コロナ危機の深刻さが想像以上であることが日増しに明らかになった。
そして、コロナ対策についての指導力のなさが露呈した。
政治とは生き物であり、一寸先は闇だ。
考えられなかった安倍1強の崩壊が始まり、ポスト安倍が動き出した。
そしてポスト安倍が動き出せばその流れは加速する。
しかも、それがコロナ危機対策がらみで動き出す。
ポスト安倍を狙う者は、国民が倦み始めた安倍政治の否定と、国民が不安視するコロナ対策への強いリーダーシップが必要になる。
私は国民的リーダーシップは絶対に野党からは出て来ない思う。
有事の政党は自民党なのだ。
そして、今の自民党で安倍に代るものは、国民的支持の石破氏と、敵をつくらない岸田氏の絶妙の協力体制が面白いと思った。
その思いは今でも変わらない。
しかし、現実の政治では必ずしもそうはいかない。
なにしろ石破氏はあまりにも自民党内での支持がなく、岸田氏はあまりにも頼りなさすぎる。
そして、石破氏にしても岸田氏にしても、自民党内の他派閥や長老を味方につけなければ政権を取れない。
どうしても自民党政治から脱却できない。
自民党のしがらみを断ち切って、ポスト安倍になりうる候補として、急浮上したのが小池百合子東京都知事だ。
私はかつて小池百合子氏に実兄を通じて伝えようとしたことがあった。
彼女が都知事に勝って打倒安倍首相になれそうになった時だ。
首相になろうとするなら、ポーズでもいいからその右翼的言動を封印すべきだと。
しかし、父も兄も右翼であり彼女自身もそうだ。
このメッセージはまるで伝わらなかったと見え、得意絶頂の時に突然、左翼排除発言をして、あっという間にチャンスを逃した。
もはや小池百合子に首相の可能性は100%無いと思っていたらコロナ危機だ。
それを見逃すはずがない。
連日の記者会見で四股を踏みだした。
前回の反省から学んで変貌すればポスト安倍候補の資格十分だ。
指導者になりうる女性政治家の中では、国民的支持では群を抜いている。
ところが、ここに来て、もっと急浮上してきた政治家がいる。
それが大阪の吉村洋文知事だ。
コロナ対策での日々の言動が国民を惹きつけた。
日本維新の会の支持率が上昇し、いまや日本維新の会が野党第一党になった貢献者は、彼に違いない。
しかし、彼がポスト安倍と言うわけではない。
彼の人気が、彼の師匠である橋下徹を国政に参加する気にさせるのだ。
橋下徹は国政復帰はないと言い続けている。
それどころか自分の政治参加は大阪市長、知事で終わったと言っている。
それはウソではないだろう。
少なくともこれまではそうだったろう。
しかし、コロナ危機だ。
そして吉村知事の活躍を目の当たりにしている。
そして、何と言っても安倍首相の体たらくだ。
森友に象徴される安倍首相の権力の私物化に橋下は批判的だった。
そして、今度のコロナ危機の対応を見て、彼は安倍首相は長くないと思ったのだ。
おまけに彼の嫌いな野党がこの体たらくだ。
吉村と組んで国政に殴り込みをかける気になってもおかしくない。
そう思っていたら、なんと、きのう発売の週刊実話(5月7・14日号)に、時機到来 橋下徹と吉村洋文大阪知事が倒閣の狼煙「令和維新」という記事を見つけた。
週刊実話の記事は当たり外れが極端だが、この場合は当たっているのではないか。
だからといって、いきなり橋下徹がポスト安倍になるというわけにはいかないだろう。
しかし、彼が国政に出れくれば、日本の政治は、自・公VS野党共闘という不毛な政局を破壊することになるだろう。
橋下徹の国政参加は望むところだ。
彼は石原慎太郎と組んで失敗した。
慰安婦問題でネトウヨ発言を繰り返して、石原慎太郎と同様に米国を怒らせて失敗した。
それを封印して、中央政府はぼったくりバーだという原点に戻ればいいのだ。
政治家や官僚の特権はく奪を訴え、地方分権の先頭に立てばいいのだ。
外交や安保は新党憲法9条に任せると言えばいいのだ。
コロナ危機を日本の政治の夜明けとするなら、それくらいの動きが政治に起きてこなければ面白くない。
既存の政党、政治家の組み替えの繰り返しでは、日本は沈没するだけだ。
そう、国民に教える人物が、政治に出て来なくてはいけないのである(了)
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