きのう4月23日の共同が森喜朗元首相とのインタビュー記事を報じ、それを東京新聞などが掲載していた。
その内容は、1年延期が決まった直後の森喜朗氏のインタビュー記事の繰り返しだ。
つまり、安倍首相は自分(森)が提案した2年延期を聞かずに、1年延期にこだわった事をくり返した。
つまり、1年延期ではコロナ危機が収束する見通しはないから、どうせ延期するなら2年の方がいいと提案したのに対し、1年延期でいいんだ、政治日程など気にしなくていいと、自らの意見を押し通したということだ。
しかし、このインタビューで森喜朗氏は、これまでになかった言葉を発した。
すなわち、再延期はないのかと聞かれ、五輪の再延期は「絶対にない」と言い切ったのだ。
この言葉こそ、安倍首相の任期を占う物凄く重要な言葉なのだ。
すなわち、再延期がないということは東京五輪が中止になるということだ。
その時点で安倍首相の辞任は避けられないということだ。
つまり安倍首相は、長くて来年9月の東京五輪まで、もしコロナ危機が収まらず延期後の東京五輪も難しくなれば中止しかないから、それがわかった時点で安倍首相は辞めるということだ。
森喜郎氏はそう言ったということなのだ。
安倍首相が1年延期にこだわった理由がここにある。
1年延期はバッハ会長との合意ではなく、安倍首相が強く固執し、そしてバッハ会長がそれを飲んだということだったのだ。
騒ぎになったIOCのHPの発表は、延期の経費負担増を日本側が負担するとで合意したと書かれていたことが問題になって急きょ削除されて終わったが、その裏に重要な事があのHPには書かれていたのだ。
それは安倍首相が1年延期に強くこだわった、だからその負担は日本側が持つのが当然だとIOCが思い込んだということだったのだ。
なぜ安倍首相はそれほどまでに1年延長にこだわったのか。
それ理由を、きのうのインタビューの中で森喜郎氏が、(再延長は)絶対にない、と強く否定したことで教えてくれた。
安倍首相は、もともと東京五輪を自分の手で行う事が出来れば、その後に辞任するつもりでいた。
もし今年の夏に予定通り五輪が開催されていたら、五輪後に岸田禅譲に向かって辞任するつもりだった。
それがコロナで狂った。
何としてでも東京五輪を延期して成功させければ辞められない。
しかし、2年は長すぎる。
出来れば延期幅は短い方がいいが、来年の春の開催ではコロナ危機の収束は無理だ。
だから最大限1年の延期しかなかったのだ。
もし安倍首相が来年9月の総裁選に出て勝ち、更に長くやる意欲があったなら、2年延期でもよかった。
安倍首相ならそれは可能だと森氏は考えて励ましたつもりだった。
しかし、安倍首相は、政治日程は心配しなくてもいいと、あっさり森氏に答えた。
それを聞いた森首相は、安倍首相が長くやるつもりはないと悟ったのだ。
そうであれば、なんとか来年の夏に東京五輪開催を行い、安倍首相に花道をつくってやりたいと、森喜朗氏は祈る気持ちになったのだ。
くり返して書く。
もし東京五輪の1年延期がコロナ感染の収束が見えずに中止になれば、それが確定した時点で安倍首相は辞めるつもりだ。
それが決まるのは今年の暮れから遅くても来年の春までだ。
つまり、はやければ安倍首相はその時に辞める。
その時には 佐藤栄作元首相の単独最長政権の記録を抜いて、文字通り憲政史上の最長任期の首相となる(8月)
そしてトランプ大統領が再選されるかどうかも見極められる。
トランプ大統領が負ければ、ますます安倍首相は首相に留まる未練はなくなる。
自分が首相に在職中に、残念だったと朋友トランプ大統領を優越感をもって見送る事が出来る。
もしトランプ大統領が勝てば、総理大臣として喜びを共有し、東京五輪までトランプ大統領と蜜月が続けられる。
場合によっては、トランプ大統領の力添えで、なんとか東京五輪を開催できるように持っていけるかもしれない。
そして、東京五輪まで続けられれば、たとえトランプ大統領が大統領をあと4年続けても、自分としてはもう十分だ。
トランプ大統領はますます日本に注文をつけてくる。
そのツケは、後任の首相に回せばいいのだ。
以上書いて来た事を要すれば、森喜朗氏が、延期後の東京五輪の再建期は「絶対にない」と言った意味は、安倍首相の任期は最長で来年の9月まで、早ければ東京五輪の中止が確定する年末、遅くとも来春までということだ。
そのことは、とりもなおさず、安倍首相は自分の手で解散・総選挙など毛頭考えていないということだ。
そして、解散・総選挙がなければ野党の出番はない。
野党統一どころか分裂するしかない。
そして、政局は、これからどんどん、ポスト安倍一色になっていく。
それではポスト安倍はどういう展開になるのか。
それは次回に書いてみたい(了)
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