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「1年延期決定」のドタバタ劇の裏にあった安倍首相の思惑

 3週間後にIOCが決定する報じられていた、延期「合意」後の東京五輪の
新日程だったが、今朝の早朝のNHKが繰り返して報道し始めた。

 来年7月開幕で決まると。

 なんのことはない。

 大騒ぎをした末に、丸1年延期されたということだ。

 このドタバタ劇をどう考えたらいいのか。

 ズバリ、安倍首相の、安倍首相による、安倍首相のためのドタバタ劇だったということだ。

 今年予定通り今年の夏に開催したかった安倍首相は、コロナ危機による延期を嫌って、日本の感染者数を意図的に少なく見せて乗り切ろうとした。

 そしてバッハ会長と連携して、「いまのところ予定の変更は考えていない」と言い続けた。

 ところが、世界に感染が広がり、はやく決めろという圧力が出てきたため、バッハ会長と電話協議して「1年程度の延期」で合意した。

 なぜIOCが正式決定する前にバッハ会長と協議して二人で合意したのか。

 それは、中止ではなく延期を勝ち取りたかったからだ。

 いま延期を発表すれば、なんとか国際世論の圧力をかわせる。

 バッハ会長となら中止ではなく延期で合意できる。

 それなら、1年と明示せずに、1年程度と曖昧にしたのか。

 それは、まだ安倍首相はバッハ会長との協議の時点で、1年延期を決断できなかったからだ。

 できるだけ延期幅を短くし、あわよくば来年春にも実施したい思いがあったからだ。

 IOCの決定まで、まだしばし時間がある。

 その間に、自分にとって最も都合のいい時期を早急に考え、決断して、その自分の希望する時期にIOCの決定がなされるように動けばいいと考えたのだ。

 それが3週間の時間稼ぎだった。

 ところがコロナ感染が思いもよらぬ猛スピードで加速した。

 ニューヨークが崩壊し始め、次は東京だとなった。

 3週間も待てない。

 もはや夏前の開催などという悠長なことを言ってられない。

 それどころか、バッハ会長との間で「合意」した1年程度の延期も反故にされ、IOCは「中止」を言い出しかねない。

 それなら一日も早く、延期幅の最長である1年延期で手を打ったほうがいいとなったのだ。

 これが、今朝のNHKが流した、今週中にも1年延期でIOCが決定することになったというニュースの経緯だ。

 しかも、この決定は安倍首相にとって悪い話ではない。

 確かに、今夏の五輪の成功を利用して支持率をアップさせ、場合によっては解散・総選挙を狙っていた思惑には誤算が生じるだろうが、逆に言えば、少なくとも後1年は首相にとどまることができる。

 そして11月にトランプ大統領が再選されれば4選の声が出でる。

 かくして、バッハ会長との1年程度の延期の「合意」から、あっというまに、IOCによる「1年延期決定」というドタバタ劇が起きたのだ。

 しかし、1年延期決定は大きな賭けだ。

 1年後の東京五輪開催のかなり前に、世界のコロナ危機が収束されていなければ、今度の同じことが繰り返される。

 そして、再延期はないから、次は中止しかない。

 つまり、延期決定を迫られたギリギリの時期が3月末から4月初めだったから、少なくとも来年の今頃までには、コロナ危機は収束してなければいけないのだ。

 だから安倍首相は、緊急非常事態を宣言してまでも感染の拡大を封じ込めようとするのだ。

 「観察研究として事前に同意を得たうえで患者への投与を始める」(3月29日日経)という離れ業までして、治療薬の開発を急ぐのだ。

  あの時バッハ会長と、「1年程度の延期」ではなく、「無期限延期」としておけばよかったのだ。

 そうすれば、必ず東京で開催できる上に、世界の皆が、五輪を離れて、納得する形でコロナ対策にじっくりと専念できる。

 どう考えても無期限延期が好ましいのだ。

 なぜ安倍首相はそれができなかったのか。

 答えは簡単だ。

 自分の手で東京五輪ができなくなるからである。

 すべてはここに行き着くのである。

 安倍首相による、安倍首相のための、安倍首相の東京五輪である。

 そんな馬鹿な東京五輪にしないためにも、一日も早く安倍首相には辞めてもらうしかない(了)

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