きょうの報道ぶりを見ると、安倍首相は昨晩のバッハ会長との電話協議の直後に、官邸で記者たちにこう語ったとなっている。
「中止はないと確認した」と。
「世界のアスリートが最高のコンデションでプレーでき、観客にとって安全で安心な大会とするため、おおむね1年程度延期することを軸として検討していただけないかと提案した」と。
「(バッハ会長は)100%同意する」と応じたと。
これだけを見ると、安倍首相の思わく通り、1年程度の延期が決まったような印象を受ける。
そして、安倍首相の宣伝紙である読売新聞は、G7を根回しした上でバッハ会長とトップ外交をして、「五輪中止を阻止した」と、あたかも安倍外交が成功したかのように報じている。
テレビでおなじみの御用政治解説者も、バッハ会長はこんなに早く電話会談に応じてくるとは思わなかった、その対応も驚くほど柔軟だった、そう政府は喜んでいると評価している。
しかし、安倍首相の記者会見の発表振りも、この政治評論家の言い方も、巧みなウソだ。
ウソが言い過ぎなら印象操作だ。
考えてみるがいい。
そもそも東京五輪が延期止むなしに至ったのは、コロナウィルスの感染が世界規模に爆発したからだ。
日本でコロナ危機が収束しなければ開催は出来ないし、たとえ日本で危機が収束しても、世界で収束しなければ完全な五輪など出来ない。
そしてコロナ危機の収束がいつになるかは誰も断言できない。
そんな中で、いくらバッハ会長が強いリーダーシップを持っているからと言って、彼の一存で安倍首相の言う通りに、五輪開催の1年延期など約束できるはずがない。
急いで行われた今度のバッハ・安倍電話会議の意味するところは、国際批判の圧力に慌てたバッハ会長が、一日も早く安倍首相に、「7月からの東京五輪はあきらめた」ということを世界に発言させたということなのだ。
100%合意したというのは、安倍首相の無念な気持ちは100%理解できると同情してくれただけなのだ。
すべては、これからのコロナ危機の克服状況次第であり、その状況を見極めながら世界の関係者の話を聞いた上で、IOCが決定する事になる。
そして、よほどの展開、つまり画期的なワクチンの開発だとか、効き目のある薬が発見されると言う事でもない限り、状況の好転は望めない。
つまり開催時期はいつまでたっても決まらず、場合によっては中止すらありうるのだ。
福島の原発事故はコントロールした。
そうウソを言って誘致に成功した五輪だったが、その五輪は、1年延期で合意された、というウソで終わるかもしれない。
そもそもオリンピックという世界の共有物の東京開催を、自分の手で開催してみせると私物化しようとした安倍首相が間違いなのだ。
悪い事は言わない。
やはり安倍首相は、一刻も早く森友学園の疑惑を晴らして、言葉通り潔く辞めるべきである。
それしかない。
そのほうが、日本にとっても、自分自身の為にも正しい選択である(了)
Comment On Facebook