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OPECの崩壊とサウジ王族が遊牧民に戻る日

 OPECとロシアなどOPEC非加盟産油国との協調減産交渉が決裂した。

 その同じタイミングで、サウジアラビアの事実上の国王であるムハンマド皇太子が身内の皇太子らを反逆罪で次々と拘束した。

 この二つのニュースを見て私は過ぎた歳月を思い起こしている。

 この二つは決して無縁ではない。

 OPEC、すなわち石油輸出国機構は、国際石油資本などから石油産出国の利益を守ることを目的として、1960年に設立された。

 当初は、イラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラの5ヶ国を加盟国として始まった。

 その目的は防御的であり、理解し得るものだった。

 しかし、1973年から74年にかけて、わずか3か月ほどで原油公示価格を1バレル約3ドルから12ドル近くまで一挙に4倍に値上げしたのは市場をかく乱する暴挙だった。

 当時私は海外研修を終えた最初の本省勤務先として経済局に配属され、この問題に直面した。

 この石油危機を迎え撃つためフランスのジスカールディスタン大統領の提案で主要消費国首脳会議が提唱され、やがてそれは1975年の第一回主要国首脳会議につながる。

 それから10年ほどたって、私は1982年から84年にかけて最大の産油国であるサウジアラビアに勤務する事になる。

 そこで見たものは、オイルマネーに潤ったサウジアラビアの傲慢さである。

 オイルマネーを独占したサウジの王族は、その金で国民を黙らせる一方で、カネに任せて外国労働者に労働を丸投げし、自国民の育成や経済の自立化をおろそかにした。

 こんな国に未来はないと思ったものだ。

 実際のところ、オイルマネーを独占して贅沢三昧する王族の支配に反発した国内のイスラム原理主義者たちによるクーデターの可能性は、当時から内政の大きな問題だった。

 それから三十数年経って、いま石油価格の長期的下落が不可避になろうとしている。

 その大きな原因の一つが、皮肉にもサウジアラビアの守護神であり続けた米国がオイルシェールを実用化し、原油の一大生産国、輸出国に転じようとしていることにある。

 財政収入のすべてである原油価格が下落してしまえば、サウジアラビアはただの砂漠国家だ。

 これまでは、他の産油国が財政収入を増やすため増産し原油価格を下げようとすれば、みずから減産し原油価格の下落を防ぐ調整役(いわゆるスウィングプロデュ―サー)を果たしていたが、その余裕すらなくなったのだ。

 このまま石油価格が下がればサウジアラビアの王族はただのベドウィン(遊牧民)になる。

 それをおそれて金融資本主義国家になろうとし、鳴り物入りで国営石油会社(アラムコ)を上場させても、原油価格が下がれば暴落するのは当然だ。

 昨年12月の上場から、わずか3カ月で公開価格を下回った。

 そのすべての責任は事実上の国王であり、独裁者のごとく振る舞ってるムハンマド皇太子にある。

 異母兄弟を含む兄弟同士で国王のポストを順送りしてきた慣例を破り、一挙に世代交代させた。

 おまけに反発する同格の皇太子たちを次々に投獄する。

 いよいよサウジアラビア王国は崩壊の危機にさしかかりつつあるようだ。

 石油がなくなれば再び砂漠に戻ればいい。

 それがわれわれベドウィンの誇りだ。

 私はフィクションの中でそういうセリフをサウジアラビアの国王に吐かせ、最後までパレスチナの大義の為にイスラエルと戦うサウジアラビアの姿を思い描いた。

 しかし、それはないものねだりだ。

 金の力と魅力を知ってしまったサウジアラビアの王族はもはや元には戻れない。

 イスラム教の総本山を抱えていることすら忘れてしまったようだ。

 中東混乱のもう一つの危険性が出て来たと言う事である(了)

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