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どのメディアも批判しない今度の安倍中東訪問のいかがわしさ

 よくもこんなふざけた中東訪問ができたものだ。

 そう思わせる今度の安倍首相の中東訪問だ。

 私がそう思う理由は山ほどある。

 米国とイランの危機の中で仲介外交をするという緊迫した中で、昭恵夫人を同伴するという、無神経さもその一つだ。

 しかも女性の活動の制約が最も厳しいサウジアラビアにである。

 他にも数多くの問題があるが、ここではメディアが全く触れない二つに絞って書きたい。

 ひとつは安倍仲介外交のデタラメさ加減だ。

 かつて(昨年4月末)イランのザリフ外相が米フォックステレビでこう発言したことがあった。

 イランの敵は「Bチーム」であると。

 これは米国のボルトン大統領補佐官、イスラエルのベンジャミン・ネタ二エフ首相、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇子、ア首連のムハンマド・ビン・ザイド殿下の4人の頭文字を取った言葉だ。

 いずれもイランの体制崩壊を狙う強硬派だ。

 この発言は当時日本のメディアでも大きく報じられた。

 安倍首相が知らなはずがない。

 安倍首相が知らなくても、官邸官僚や外務官僚が知らないはずがない。

 もちろんイランはそれを言い出した張本人だから一番よく知っている。

 そんなイランの敵対国の二つをわざわざ選んで安倍首相はこのタイミングで訪問したのだ。

 しかも、仲介外交に徹するなら、最初の訪問国であるサウジアラビアで、真っ先に、世界の目の前で、サルマン国王にイランとの敵対行動の自制を訴えるだけでいい。

 しかし、サルマン国王との会談は形式的なものだと言わんばかりに、事実上の国王であるムハンマド皇太子との会談を重視し、別荘にまで出向いて会談している。

 しかもである。

 危機回避の話はそこそこに、自衛隊艦船の中東派遣の理解を得る説明をしている。

 説明しなければ理解が得られないようなわけのわからない派遣などするなといいう事だ。

 おまけに原油供給国として今後もよろしくとエールを交換している。

 しかし、忘れてはいけない。

 ムハンマド皇太子はカショギ記者殺害事件の首謀者の疑いで世界から非難された人物だ。

 その非難はいまも収まっていない。

 奇しくもきょう1月14日の産経新聞がスポーツ面でこういう記事を書いていた(スポーツ茶論)

 サウジアラビアで今月開かれるゴルフの欧州ツアー「サウジ国際」にフィル・ミケルソンが出場する。

 そのことが、高額に目がくらんでカショギ記者が殺された事を忘れたのかと、ネット上で批判の嵐だというのである。

 スポーツ選手でさえ、批判されるのだ。

 日本の首相がムハンマド皇太子の復権に手を貸すような真似をしてどうする。

 外交的配慮を欠いた会談ではないのか。

 少なくともそう指摘するメディアが一つぐらい出て来てもおかしくないのに、見事にすべての報道が、日本とサウジアランビアの友好関係強化一色だ。

 いくらメディアが安倍忖度一色だと言ってもあまりにも情けない。

 日本のメディアを鵜のみにしては何もわからない。

 それを教えてくれるきょうの各紙の安倍首相のサウジアラビア訪問の報道ぶりである(了)

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