スレイマニ司令官の殺害から一夜明け、イランの怒りの激しさに世界がおののいているごとくだ。
無理もない。
その影響力の大きさから、米政府自身がスレイマニ司令官を最高指導者ハメネイ師に次ぐ実質的なナンバー2と見なすほど、スレイマニ司令官は有力者だったからだ(1月5日共同)
それをわかっていながら、なぜトランプ大統領は敢えてピンポイントでスレイマニ司令官の殺害を断行したのか。
それは、トランプ大統領の言葉を借りれば、米国人の命を守るためだ。
具体的には昨年12月27日にイラク北部の米軍基地にロケット弾が撃ち込まれ、民間人を含む5名が死傷したからだ。
その報告を聞いたトランプ大統領はスレイマニ司令官の殺害を即座に指示したという(1月5日日経)。
そこまではまだ理解できる。
米国第一主義だ。
しかし、ここまで激しくイランが反発するとは思わなかったのではないか。
読み間違えたのではないか。
きょうの朝日は次のように書いている。
ブッシュ(息子)、オバマ両政権で中東問題を担当した民主党のスロトキン下院議員はこうツイッターに書いた。ブッシュもオバマもスレイマニ司令官の殺害を検討しながら、報復や長期的な対立を考慮して、見送ったと。
果たしてトランプ大統領はそれを知った上で、米国第一主義の信念に沿って、イランとの終わりない戦争を覚悟の上でスレイマニ司令官の殺害を断行したのだろうか。
その後のトランプ大統領や側近の発言を聞いていると、とてもそうは思えないのだ。
むしろ、イランの猛反発にひるんで、抑制的で、弁解がましく聞こえる。
もしそうだとすれば、この攻撃はトランプ大統領の命取りになりかねない。
いまさらイランの反発に屈するわけにはいかず、戦争は泥沼化するからだ。
もう一つの命取りは大統領選への悪影響だ。
バイデン候補もサンダース候補も批判している。
無理もない。
イラク攻撃の失敗とその後のテロの脅威で米国民は更なる戦争にウンザリなのだ。
それに応えて中東から撤退する事を宣言したのはトランプ大統領自身だ。
そのトランプ大統領がイラクへの米兵増派を言い出したのだから支離滅裂だ。
やはりトランプ大統領は金正恩委員長と共にノーベル平和賞をもらい損ねた時点で終わったと言う事である(了)
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