野党第一党の枝野立憲民主党代表がいさましく宣言したらしい。
安倍政権に対して追及すべき事は山ほどある、だから臨時国会を9月に開くよう要求すると。
消費税増税反対で対案を出すと。
その言や良し。
しかし、とても本気でそう言っているようには見えない。
安倍政権は、外交と天皇即位式に逃げ込み、国会開会を遅らせ、国会を早く終わらせるつもりだ。
ますます弱体化し、弱くなったいまの野党の国対委員長らに、それを押し返す政治力はまったくない。
消費税増税反対に至っては、8%据え置きでは国民は納得しない。
だからといって5%減税では、まとまれない。
枝野発言は、言って見せただけだ。
その事を、きょう9月2日の毎日新聞「風知草」で、山田孝男特別編集委員が言い当てている。
通常国会が終わった6月26日以降、国会議員が国会にいたことはなかったと。
いくら選挙やお盆があったとしても、国会のこの停滞は釈然としないと。
しかし、野党は細分化が進み、組織が弱り、調査能力の低下は否めないと。
一方の与党は、野党の見せ場を減らすため、臨時国会の予算委員会を衆参両院でそれぞれ2日間にえたい意向だと。
たった2日間で逃げようとしているというのだ。
安倍首相の所信表明演説は10月7日に行われ、国会は12月前半で終わると。
すでにそう決まっているというのだ。
しかも、その間、内外の政治日程が詰まっていて、実際に国会審議が行われる日数は、限りなく少なくなる。
これが今の日本の政治の現実なのである。
それを認めた山田氏の言い草がまたふるっている。
議会制民主主義の母国である英国では、ジョンソン首相が、野党のEU離脱阻止法案を封じるため、一方的に国会を閉じると言い出した、それにくらべれば予算委員会の時間制限など控えめな戦術だと。
ここまでは笑ってすませばいい。
しかし、その後に続く山田氏の提案には、のけぞり返った。
彼は続ける。
それにしても、ようやく始まる国会にもかかわらず高揚感が欠けると。
しかし、高揚感なき国会を盛り上げる秘策があると。
それは、安倍晋三首相が長い所信表明演説(ロングスピーチ)をして見せ場をつくることだと。
日韓問題やホルムズ海峡の船舶問題について、言葉を練って語る事であると。
ここまで来れば、冗談も休み休みにしてくれといいたくなる。
これ以上、安倍首相のウソ演説を長々と繰り返されてはたまらない。
そんな長演説を聞かされるぐらいなら、いっそ国会なんて開かれないほうがいい。
日本の政治はここまで不毛になってしまったのだ。
それを見事に言い当てた、山田孝男特別編集委員の「風知草」である。
こんな文章を週に一回書いて食っていける山田氏は、いい身分である(了)
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