丸山穂高議員以上にロシアを怒らせた国会議員がいた。
こういう書き出しで始まるきょう6月2日の朝日の社説には驚いた。
駒木明義論説委員が「余滴」で要旨次のように書いている。
すなわち、今年1月に日ロ外相会談が行われている時と同じくして、河井克行という安倍首相の外交特別補佐がワシントンで講演したというのだ。
河井補佐と言えば、外務省の頭越しに対米議員外交を任せられている、お粗末な国会議員だ。
お粗末と言う意味は、まるで米国がわかっていないのに、対米外交は俺にまかせろと言わんばかりに横柄に振る舞っているからだ。
その河井補佐が、ワシントンにおける講演でこう述べたというのだ。
「日本もロシアも、中国を潜在的な脅威と見ている。日ロ平和条約には、中国の脅威に両国(日ロ)が共同で対処する意義があることを、米国に理解してほしい」と。
これを聞きつけたラブロフ外相が、河野外相との会談直後の記者会見で、こう怒りをあらわにしたというのだ。
「腹立たしい言い分だ。まったく受け入れられないということを、極めて真剣に(日本に)抗議した」と。
今年の1月時点で、こんな外交失態があったとは、私は全く知らなかった。
いまでは北方領土返還をすっかりあきらめた安倍首相だが、1月時点ではまだかすかな期待を持っていた。
「ダレスの恫喝」という苦い過去がある日本は、万が一北方領土交渉が進展したら、今度こそ米国に反対されないように、米国が喜ぶように中国包囲網を持ち出したのだろうが、これほど外交センスのない言葉は無い。
中国や米国との関係を重視するロシアにとっては、こんなデタラメな発言をされて、中国や米国に誤解されてはたまらない。
怒るのも無理はない。
駒木論説委員はモスクワ支局長だったこともあり、ロシアの怒りしか書いていない。
しかし、この河井補佐の発言のより深刻なところは、公然と中国包囲網を公言したことだ。
駒木氏の記事には中国の反応については一切書かれていない。
しかし、中国はもちろんこの河井発言を見逃す事はない。
中国は、河井補佐が安倍首相の外交補佐であることも知っている。
日中関係は正常化した、軌道に乗った、と繰り返す安倍首相を中国は、なんという二枚舌外交だろうと嘲笑しているだろう。
安倍外交は、どう考えても国際政治には通用しない、支離滅裂外交である(了)
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