トランプ大統領が、米中交渉がまとまろうと期待されていた矢先に、突然対中国関税25%引き上げを宣言した。
宣言したどころか、官報まで出して、10日午前0時1分に引き上げると公表した。
これは、貿易交渉のルールを完全に逸脱した前代未聞の暴挙だ。
なぜここまでの暴挙に出たのか。
これまでの報道では、交渉の遅さにしびれを切らしたとか、中国が約束違反をしたとか、もっともらしい説明がなされて来た。
しかし、私はこのトランプ大統領の言葉を聞いてピンときた。
この異常なまでの強硬姿勢は大統領選をにらんだバイデン候補潰しであると。
すなわち、トランプ大統領はツイッターでこうつぶやいたという。
「中国が貿易協議を撤回し、再交渉しようとしたのは、大統領選の民主党候補との『交渉』で、米国からの搾取を続けられると希望を持ったからだ!そんなことは起こらない!」
ここでいう民主党候補はもちろんバイデン候補の事である。
私はかつてメルマガで書いた。
バイデン候補が立候補宣言をした時点で、トランプ大統領に最強のライバルが現れたと。
トランプ大統領はバイデン候補に政策論争で勝てないと。
その私の予測を裏付けるかのように、バイデン候補は、「勝てる候補」の世論調査でいきなりバーニー候補(12%)を抜いてダントツのトップ(56%)に躍り出た。
しかも、バイデン候補はトランプ大統領の票田である貧困白人層の多いラストベルト(錆びた工業地帯)に乗り込んで支持を広めようとしている(5月3日日経)
トランプ大統領が危機感を抱かないはずがない。
そのバイデン候補が、5月1日のアイオア州の集会で次のようにトランプ大統領を酷評したのだ(5月4日東京)
「中国がわれわれをやっつけようとしているって?まさか。彼らは悪い人たちじゃない」と。
中国に厳しく対応しているトランプ大統領は甘い考えだ」と
ところが、このバイデン候補の発言は、民主党内でも中国への見方が厳しくなっている中で、サンダース候補などからも弱腰と批判され、バイデン候補は不利な立場に置かれることになった。
このバイデン発言を、トランプ大統領が見逃すはずがない。
俺はバイデンとは違う
中国とは妥協しない。
こう、トランプ大統領は共和党支持者のみならず民主党支持者の対中強硬派に見せつけようとしたのだ。
もはやトランプ大統領の頭の中は、ロシア疑惑と大統領選の事しかないということである(了)
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