きのうの夜、日刊ゲンダイから、安倍首相の「日朝首脳会談の無条件開催」をどう思うかという電話取材を受けた私は、思いつきの提案だ、安倍矛盾外交の象徴だ、いつもの「やってる感」外交だ、お手並み拝見だ、と散々批判した。
それが今日発売の日刊ゲンダイに掲載されるだろう。
その思いは今でも変わらない。
しかし、きょう5月4日の東京新聞を見て驚いた。
東京新聞も、産経がスクープ記事を書き、朝日が後追い記事を書いたように、安倍首相は日朝首脳会談の無条件開催を目指す方針を固めたと書いた。
そこまでは産経や朝日と同じだ。
しかし、その後に、拉致問題の解決に関連し、「先方からの求めがあれば、植民地支配を巡る『過去の清算』も並行して話し合う」と書かれていた。
これこそが私が言い続けて来たことだ。
拉致問題は過去の清算と同時に包括的に解決するしかない。
すなわち、日朝国交正常化と、経済協力と言う名の賠償のパッケージの中で、拉致被害者は国家間の争いの犠牲者として位置付けて解決するしかないのだ。
小泉元首相のピョンヤン宣言を復活し、さらにそれを進展させる形で日朝合意をするしかない。
東京新聞のその記事は、「先方から求めがあれば話し合う」となっているが、間違いなく日本側から打診しているのだ。
そしてこの提案はまさしく北朝鮮が望んでいたことだ。
それから、もうひとつ。
この提案には大きな意味がある。
それは韓国と北朝鮮の分断だ。
周知のように、いまの日韓関係は過去の清算を巡って最悪の関係になっている。
もし日本が北朝鮮との関係で過去の清算を完全解決して国交正常化を実現できれば、韓国は立場を失う。
安倍首相にとってこれ以上ない文在寅大統領に対する反撃だ。
この東京新聞のスクープ記事を読んで私は日朝首脳会談はあり得るかもしれないと思うようになった。
唯一、最大の障害は米国だ。
北朝鮮の核の完全非核化が行われないままに日本が韓国と国交正常化交渉を始め、賠償と言う名の経済支援を与えることを米国は許すだろうか。
拉致問題は日本国民の人権問題だ、日本の首相として非核化交渉と切り離して進めるしかない。
そう安倍首相はトランプ大統領に理解を求めているのではないか。
さきの訪米でもその話をし、トランプ大統領の了解を得たのではないか。
そうであれば、あの小泉首相もブッシュ大統領を説得できなかった偉業になる。
果たして日朝首脳会談の無条件開催は実現するのか。
私は今でも難しいと思っているが、ひょっとしたらありうるかもしれないと思うようになった。
きょうの日刊ゲンダイの私のコメントが的外れになるかもしれない。
これが解散・総選挙のウルトラ技になるのではないかとすら思えて来た(了)
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