多くの閣僚を伴って「日中ハイレベル経済対話」に臨んだ河野外相は、日中関係が正常な軌道に戻った事を強調した。
しかし、その内実は決してそうではない。
きょうの各紙を見ると正常どころか成果はゼロだ。
それどころか、日中間に存在する困難な問題ばかりが浮き彫りになった。
無理もない。
米中対立が激しくなる一方の中で、対米従属の安倍政権では日中関係が深まるわけがないからだ。
歴史認識が根本的に異なる安倍首相と習近平史跡の間で真の信頼関係などできるはずがないからだ。
私が一番注目したのは、今度の河野外相の訪中で、安倍首相が最も重視している習近平主席のG20出席のための6月訪日すら、合意できなかったことだ。
メディアはG20の出席は当たり前のように報じている。
しかし、河野外相が記者会見で語った言葉は、あくまでも「予定」である。
その一方で、王毅外相は習近平主席の訪日については一言も言及していない。
河野・王毅外相会談の合意は、あくまでも「G20首脳会議の成功に向けて協力することで一致した」である。
これでは何も合意しなかったも同然だ。
それではなぜメディアはあたかも米中関係は改善されつつあると嘘を書くのか。
それは、参院選を前にして、「議長役の安倍首相がG20を成功させた」とアピールしたいからだ。
その安倍首相の思惑を忖度して日中関係改善を報じるしかないのだ。
その一方で、王毅外相も、「協調と協力を強化する重要性と必要性が増している」と日本との関係改善を期待する発言をしている。
なぜか。
それは日本に対して踏み絵を突きつけようとしているのだ。
安倍首相に忖度したメディアや識者は、これを、「米国との対立が続いている中で、日本に頼らざるを得ない」などとしきりに日本が有利に立っていると強調しているがまったく違う。
中国は米国との関係改善に日本の助けなど要らない。
そうではなく、中国との関係改善なくして日本は経済的にやって行けるのか、よく考えた方がいい、と日本の足もとを見ているのだ。
自らの政治的パフォーマンスの為に日中関係改善を利用する安倍首相と、中国の世界制覇の野望の為に日米同盟関係にくさびを打ち込もうとする習近平主席。
とても安倍首相に勝ち目はない。
安倍首相の出方次第では、G20は李克強首相の出席でお茶を濁される可能性は、私はまだ残っていると思っている。
安倍首相の相手は李克強首相ではないかと言って(了)
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