数日前の新聞に一段の小さな記事が掲載された。
外務省は(3月)29日、植沢利次駐ケニア大使(63)に「厳重訓戒」(停職12カ月相当)を科したと発表したと。
それを読んだ私は思わず笑ってしまった。
間違いなく女性問題だ、あいつならやりかねない、と思ったからだ。
植沢氏は私が1980年代後半に外務省でアフリカ課長をしていた時の課員のひとりだった。
スワヒリ語専攻の中級職として、前任者と交代する形でアフリカ課に入って来た。
若いくせにやけに要領がよく、女に目がない男だった。
私の直感は見事に的中した。
その記事から数日たって、複数の週刊誌が書いた。
そのあまりにひどさに、唖然とした。
大使公邸に夜な夜な女性ばかりを集めて高級ワインなどを振る舞って遊びまくっていたというのだ。
この事件は外務省という組織がいまや完全に劣化してしまった事を象徴するような事件だ。
外務省は植沢を、その要領の良さでキャリアに登用し、アフリカ諸国の中でも最大のケニア大使にまでして重用した。
その植沢が、暇を持て余して女遊びを繰り返していたにもかかわらず、それを見て見ぬふりをして放置し、現地の邦人の評判になってはじめて処罰した。
しかも更迭ではなく訓戒という甘い処分だ。
私は、イラク戦争に反対する公電を打電して志半ばの55歳で解雇された。
もはや16年以上も前の事だから、いまさら悔しくはない。
しかし、この元課員が63歳まで大使を続け、挙句の果てに醜聞で訓戒された事を知って、腹立たしく思う。
もはや16年以上も前の事だから、いまさら外務省には何のこだわりもない。
しかし、この元課員の事件を知って、いまさらながらここまで外務省は劣化したかと思い知らされる。
今の外務省では。もはやまともな外交など出来るはずがない。
残念な事件だ(了)
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