地方選挙が盛り上がらない。
自民党が分裂しているのに野党が勝てない。
ひどい政治状況だ。
しかし、日本の政治もひどいが、はるかにひどい政治状況の国がある。
それがイスラエルだ。
トランプ大統領の支援が奏功したと見えて、あす4月9日に行われるイスラエルの総選挙で、それまで劣勢と伝えられていたネタニヤフ首相率いる右派が勝ちそうだ。
そうなるとイスラエルはますます強硬になる。
ついに、ゴラン高原に次いでヨルダン西岸の一部まで併合すると言い出した。
いわゆる入植地の合法化である。
それだけではない。
イスラエル国内のアラブ人を差別する「ユダヤ人国家法」が出来そうだという。
この新法は、一言でいえば、イスラエルの国民であってもユダヤ人を最優先し、アラブ人の人権を認めないというものだ。
かつて南アフリカで国策とされていた黒人隔離隔離政策(アパルトヘイト)と同じだ。
私が南アフリカを担当していた時、パレスチナ問題を担当していた隣の課長と、よく話したものだ。
お前の担当しているパレスチナ問題(アパルトヘイト問題)と俺の担当しているアパルトヘイト問題(パレスチナ問題)のどちらが先に解決するのだろうか、と。
出口が見えず暴力の応酬をくり返していた南アフリカとイスラエルを担当していた二人の外務官僚のため息だった。
結論から言えば、ネルソン・マンデラというたぐいまれな人物を得た南アフリカが、それから数年後にアパルトヘイト問題を克服したが、イスラエルの方はパレスチナ弾圧がますますひどくなり、ついに、いま、歴史に逆行するアパルトヘイトを導入しようとしている。
あの時は、アパルトヘイトは許されないという強い国際世論があった。
内部に黒人問題を抱えている米国も最後は南アフリカ白人政権を見捨てた。
ところがパレスチナ問題はそれがない。
国際世論はイスラエルの暴挙を非難するどころか、ますます沈黙するようになっている。
なによりも、あの時、黒人を差別するアパルトヘイトを批判した米国が、いまはパレスチナ人を差別するアパルトヘイトを公然と容認している。
おまけに、あの時はアフリカ諸国が一致して南アフリカの白人政権と戦ったが、いまやアラブの盟主であるサウジアラビアやエジプトはイスラエルと接近し、パレスチナを見捨てようとしている。
このままではパレスチナは世界から見捨てられる。
しかし、黙って見捨てられ、地球上から抹殺される事にはならない。
必ず自爆テロが起きる。
それがわかっていながらパレスチナ弾圧を強化するイスラエルと、そのイスラエルを支援する米国は、世界平和の敵だ。
日本の政治もひどいが、世界の政治はもっとひどい。
本来ならば憲法9条を持つ日本こそ指導力を発揮すべき時であるのに、その憲法9条否定して、米国と一体になろうとしている政治が続く。
明らかに間違っているのに、それを国民に気づかようとする政党や政治家が見当たらない。
これこそが日本の政治の危機である(了)
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