新党憲法9条

憲法9条それは希望

トランプ大統領の「ゴラン高原併合承認」を批判しない佐藤優

 3月25日にトランプ大統領がイスラエルのゴラン高原占領を正式に承認した時、アラブ諸国はもとより、国際社会は一斉に批判した。

 世界一対米従属の安倍政権ですら、これだけは認められないと言わんばかりに、菅官房長官が記者会見で、「日本のこれまでの立場は変わらない」と言った。

 日本の大手紙も、社説でトランプ大統領を批判した。

 それも当然だ。

 武力で他国の領土を奪うなどということは、戦後の国際法の大原則を根底から否定することであるからだ。

 こんな事を許せば、軍事力の強い国は何でもできる。

 プーチン大統領のクリミア併合を批判できなくなるし、将来中国が尖閣諸島を軍事的に占領してきても、戦争するしかなくなる。

 そして、戦争の勝てない国は大きな犠牲を払った上に領土を取られて泣き寝入りさせられる。

 だから、トランプ大統領のイスラエルによりゴラン高原併合は、決して容認してはいけないのだ。

 ところが、それを容認した日本の識者がいる。

 容認したというのが誤読なら、少なくとも一切の批判をせずに、力の強いものには泣き寝入りせざるを得ないと言わんばかりの識者がいる。

 それが佐藤優だ。

 発売中のアサヒ芸能(4月11日)で次のように書いているのを見つけた。

 「・・・今回、ゴラン高原に対するイスラエルの主権を認める事で、米国内のユダヤ教保守派とキリスト教福音派のトランプ氏に対する支持は一層強力になる。また、現在、内戦状態にあり、国土の実効支配が出来ていないシリアのアサド政権には、軍事力でゴラン高原を取り返す能力はない。また、アラブ諸国やイランも、米国とイスラエルに対する非難を強めるが、軍事力による事態の変更はもとより、制裁などの国際圧力で米国やイスラエルをけん制することすら出来ない・・・」

 この見方は全くその通りだ。

 だからこそイスラエルは公然とゴラン高原を占領し続け、そしてトランプ大統領は、そのような現実を見透かして、公然とその占領を承認したのだ。

 佐藤優は最後にこう締めくくっている。

 「イスラエルと米国の同盟関係がネタニヤフ首相とトランプ大統領の個人的信頼関係によって維持されている事を可視化させた」と。

 「苦しい立場に置かれたネタ二ヤス氏を助けた」と。

 何もかも、佐藤優の書いている事はまるで米国・イスラエルの代弁のごとくである。

 こころでそう思っていても、それを堂々と書くところがいかにも佐藤優らしい(了)

Comment On Facebook