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米朝合意ならず(一日遅れの北朝鮮の衝撃的な記者会見)

  
 私が、今度の米朝交渉は、「決裂」ではなく、トランプの都合による一方的な「中断」だ、と考える決定的な証拠がある。

 それがけさ7時のNHKニュースが流したハノイにおける北朝鮮外相の記者会見だ。

 そこで北朝鮮の外相は次のように語った。

 すなわち、トランプ大統領が昨日の午後に語った「北朝鮮は制裁の全面解除を要求した」という発言は正しくない、我々は制裁の一部解除による国民経済の改善を求めただけだ、と釈明したのだ。

 どちらが正しいか。

 もちろん北朝鮮である。

 ロシア疑惑に屈して中断を決意したトランプは、口が裂けてもそうだとは言えない。

 そこで急きょ口に出たのが北朝鮮の全面制裁解除要求だ。

 さすがにこれには応じらなかった、といわんばかりだった。

 それを知った北朝鮮は時間をかけて考えた末、さすがにこのウソは見逃すわけにはいかない、これでは北朝鮮があまりにも誤解されたまま終わる、と判断し、遅ればせながら記者会見を開いて釈明したのだ。

 もし「決裂」なら、北朝鮮は間髪いれずに米国を悪しざまに批判する記者会見を開いたはずだ。

 トランプの都合による「中断」だから、トランプの要望を受け入れて、トランプ一人の記者会見に任せたのだ。

 しかし、そのトランプの「ひとり記者会見」で、あまりにも一方的な欠席裁判の如き発言をされた。

 今後の事もあり、これだけはひとこと誤解を正しておかなければいけないと考えたのだ。

 その証拠に、北朝鮮の外相発言からは、怒りがまったく伝わってこなかった。

 むしろ悲しさを漂わせたものだった。

 トランプは北朝鮮に大きな借りをつくってしまったのである(了)

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