想定されていたとはいえ、ここまで安倍首相がプーチン大統領に「配慮」するとは思わなかった。
「不法占拠」どころか「日本固有の領土」という言葉すら封印した。
それで北方二島が返って来るのならまだいい。
しかし、もはやただの一島すら返って来る可能性はなくなった。
それは、あらゆる識者が認め、あらゆる報道が報じている通りだ。
返ってこないのに、それでも「配慮」する。
もはや「交渉」にはならいということだ。
どうやって領土返還なき日ロ平和条約をでっちあげるかという、日ロ政府間の「談合」になってしまったということだ。
プーチン大統領は笑いが止まらないだろう。
安倍首相がこれほど外交べたとは思わなかった。
これほど腰砕けだとは思わなかった。
しかし、そのことには今更驚かない。
私が驚いたのは、四島返還を求めてきた北方領土返還要求全国大会に出席した国民たちが、誰一人それはおかしいと声を上げなかったことだ。
そのくせ、陰では不満を語っている。
安倍首相や河野外相が会場から退場した後で、元島民らがあいさつに立って批判が相次いだという。
なんという腰砕けぶりだ。
全国集会の出席者たちもまた安倍首相を忖度しているのだ。
領土を返すなとプーチン大統領に迫る国民が9割にものぼるロシア世論との気迫の違いは、雲泥の差だ。
世論の気迫がここまで違うのだから、北方領土を取り返すことなど出来るはずがない。
メディアの安倍首相に対する忖度ぶりは、いまさら書くまでもない。
安倍首相の言いぶりが昨年と様変わりになったと大騒ぎして報道するわりには、それを批判する社説を掲げたのは毎日新聞だけだ。
その毎日すら「メリットがより大きいのなら妥協も必要だろう」と書いている。
もはや勝負あった。
日ロ平和条約さえ結ぶことが出来ればそれでいいのである。
それが安倍首相が目指す、歴史に残る偉業なのである(了)
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