きょう1月29日の東京新聞で、ジャーナリストの木村太郎氏が勉強になるアメリカ論を書いている(太郎の国際通信)。
「豊かで可能性のあふれた米国へ移住者が殺到し、それを阻止するための『壁』の建設をめぐって米国の政治が空転しているわけだが、その一方で米国に見切りをつけてどこか他の国へ移住したいと考える米国人が過去最高になっている・・・」
こういう書き出しで始まるその論評は、米世論調査会社ギャラップの最新統計を引用して、トランプ政権下での移住希望者が成人人口の16%に上り、オバマ政権(10%)、ブッシュ政権(11%)の時に比べ格段に増えている事を教えてくれている。
中でも目立つのは、移住を考えている女性が20%にも達し、しかも29歳以下の女性の40%が移住希望だという事実だ。
これは同年齢層の男性の二倍以上だという。
しかし、この木村太郎氏の論評で私が注目したのは、「移住が増えたのは万事トランプ大統領のせいだ」とするのはわかりやすいが、それだけではない、と教えてくれているところだ。
すなわち、他の世論調査では、次の理由が米国の移民希望者の動機であること教えてくれているという。
社会保障制度の不備
高額な教育費
インターネットの不備
最低賃金
銃犯罪の増加
これらの実態を知ると驚かざるを得ない。
たとえば最低賃金だ。
東京都が時給985円に対し、米国は連邦法で650円前後だという。
たとえば銃犯罪だ。
一昨年の犠牲者は、米国で15651人だったのに比べ日本は3人だった。
米国のインターネット通信速度がアジア諸国の後塵を拝していると知れば驚くしかない。
米国大学の授業料の高さや、国民皆保険がないために安心して病気になれない事は、いまでは誰もが知っている。
そして、米国の経済誌の言葉を借りて、木村氏は、「トランプ氏が大統領だと不愉快だから海外へ逃亡した」という事ばかりではなさそうだと書いている。
そして、最後に木村氏はその論評をこう締めくくっている。
「生まれた土地で死ぬまで暮らすのが当たり前の私たちには信じられないことだが、自分に都合の良い環境を選び、自由に国を出入りするダイナミックな考えが米国の強みにも思える」
100点満点のアメリカ論である(了)
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