突如として雇用保険の過少給付問題が浮上した。
誰もが想起するのは、あの消えた年金問題だ。
すなわち、厚労省のずさんな仕事により、国民の多くが年金をまともに受けられなくなった、あの前代未聞の政治責任問題のことだ。
国民の怒りが爆発し、それがきっかけで政権交代につながった。
今度の事件もそれとそっくりだ。
同じ厚労省の責任であり、しかも過少給付の原因となった統計の間違いに気づいて組織的隠ぺいをしていた疑いがあるというから、よりたちが悪い。
果たしてこの問題が安倍政権を追い込む一大政治問題に発展するのだろうか。
もし安倍政権の対応がまずく、そして野党の追及が鋭ければ、その可能性はある。
しかし、結論から言えばそうならないだろう。
安倍政権は、そうならないように迅速に手を打つに違いない。
すなわち、非を認め、厚労省に責任を取らせ、調査を急いで、数百億円ともいわれる不足支払いをすぐに行うと宣言するだろう。
支払いをしてくれるなら誰も文句は言わない。
その一方で、もし野党が本気でこの問題で安倍政権を追い込もうとする覚悟があるなら、いますぐ政治問題化しなければいけない。
すなわち国会開催の前倒しを要求し、安倍首相の1月中の外遊をすべて取りやめさせ、そして組織的ごまかしを明らかにして徹底追及をしなければいけない。
ところがそうはならないだろう。
野党は野党共闘で頭がいっぱいでそれどころではない。
解散・総選挙が早まれば困るのは野党だ。
おまけに、4月末の天皇退位前に政治的混乱を引き起こしたと責められる。
なによりも、過少給付は15年前から続いており、民主党政権下でも放置されていたからだ。
まさにブーメラン効果になる。
かくして野党はこの問題でも安倍政権を追及できずに終わる。
役立たずの国会が、ますます役立たずになっていく。
国民は野党に失望し、政治に失望していく事になる。
与党も野党も顔ぶれを一新し、新しい政治をつくる者が出て来るようにならなければ、政治は面白くならないということである(了)
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