新党憲法9条

憲法9条それは希望

米国が日本の司法に従わない本当の理由

 きよう1月10日の東京新聞に目から鱗の落ちる記事を見つけたので紹介したい。

 その記事は、田原牧特報部長の書いた「ゴーン事件と(日米)地位協定」と題する随筆である。

 その要旨はこうだ。

 防衛省の研究機関である防衛研究所が2010年度に作成した「日米同盟の実務に関する歴史的考察」と題する報告書があるらしい。

 それを軍事問題に精通する知人から紹介されたという。

 その中に次のような興味深い指摘があるという。

 つまり、他国の例と比較してもきわめて不平等になっている日米地位協定であるが、その中の最大の問題は米軍は日本の司法に従わないところだ。

 そして、それは日米地位協定の前身である日米行政協定(1952年発効)時代から引き継がれている。

 なぜか。その理由を報告書はこう分析しているという。

 「(米国には)蛮行をいとわないおそれのある(日本の)司法官憲に大切な自国民の身柄を委ねることは、基地の効果的運用、兵員の士気の維持に重大な影響を及ぼしかねないとの懸念があると考えられる」と。

 つまり当時から、米国は日本の司法制度、特に人権擁護に対する関心度の度合いへの不信感が強く、それが、平等な方向に改正されたドイツなどと日本との地位協定の不平等さの違いになってきたというのだ。

 そして、田原特報部長はこう書いている。

 なんだ。役所(防衛省)も分かっているのか。しかし、見下されてもこびを売り、地位協定を力の源泉とする政治権力に役人たちは頭が上がらないと。

 まさしく、これこそが、日本に主権が及ばない日米地位協定の本質であり、いつまでたっても日本がその改正を求めようとしない、求めても米国が応じない、本当の理由だったのだ。

 田原牧特報部長はこう締めくくっている。

 「ゴーン事件でも行使された『人質司法』は自らの首を絞める事につながっていないか」と。

 ゴーン事件の事は私にはわからない。

 しかし、日米地位協定については、そんな理由でいつまでも不平等を放置することは日本の恥である。

 その意味からも、一刻もはやく改正されなければいけないという事である(了)

Comment On Facebook