レーダー照射で悪化した日韓関係は、もし日本政府が適切な対応を取っていれば、つまりこの問題を表面化させることなく外交当局間で危機管理を急いでいれば、ここまで悪化することはなかっただろう。
ところが日本政府はそうしなかった。
それどころか日本が動画を公開して韓国を追いつめたから韓国は反論せざるを得なくなった。
しかも、その動画公開が、これ以上関係悪化をさせてはいけないと慎重だった外務省や防衛省の意見を聞かず、安倍首相自らが公開を命じたと日本のメディアが一斉に報じたから韓国側の反発は新たな次元に突入した。
まさしく安倍首相の言動が日韓関係をどうにもならないところまで悪化させてしまったのだ。
そう思っていたら、今度は中国との関係だ。
安倍首相の言動を報じる日本のメディアが日中関係さえも悪化させようとしている。
すなわち産経新聞などが、年末年始に安倍首相が読む本を報じた。
つまり百田尚樹氏の「日本国紀」(幻冬舎)、垣根涼介氏の「信長の原理」(KADOKAWA)、産経新聞特別記者である湯浅博氏の「全体主義と闘った男 河合栄治郎」(産経出版)などがそれだ。
この日本の報道見て、中国の共産党機関紙「人民日報」の英字版である「環球時報」がさっそく報じた。
安倍首相が選んだ3冊のうち2冊は歴史を歪曲した右翼本であり、中国脅威論を宣揚する頑迷な右翼本であると。
こんなことが中国国民に知れ渡ったら、皆、安倍首相が日中関係悪化の元凶だと思う。
つまり安倍首相の手で日中関係を改善することは不可能だということになる。
レーダー映像も年末年始の読書本も、それが日本のメディアで報道されなかったら誰も気づかなかったはずだ。
韓国や中国とも関係がここまで悪化することはなかったはずだ。
まさしく日本のメディアによって安倍首相は「ほめ殺された」事になる。
つまりメディアが安倍首相を「殺した」事になる。
それにしても、安倍首相の忖度に余念のない日本のメディアが、安倍首相の対韓外交や対中外交をみすみすぶっ壊すような安倍殺しの記事をなぜ書いたのかという疑問が湧く。
そう思ってそれら日本のメディアの報道を読み返して見てあらためて思った。
日本のメディアが安倍首相を「ほめ殺した」のではなく、安倍首相自らが率先してそれらの情報を日本のメディアに流して、書かせ、ほめさせたのだ。
もしそうならとんでもない勘違いだ。
度し難い自己過信である。
これでは韓国や中国との関係が改善するはずがない。
日本が韓国や中国との二国間関係の真の改善を望むなら、一刻も早く安倍首相を辞めさせなければいけない。
しかし、自民党には安倍首相に代わる指導者は見当たらない。
そして野党共闘はいつまでたってもおぼつかない。
結局はそこに行きつくのである。
いまこそ新党憲法9条である(了)
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