ほめ殺し(ほめごろし)という言葉の意味は、辞書によれば、元々は対象をほめることによりその対象を「だめにしてしまうこと」を指していたが、後に、だめにすることを目的として「ほめる」ことをも意味するようになった、となっている。
いずれにしても相手をダメにすることらしい。
しかし、私はあえてこの言葉を、安倍首相に対しては、褒め、おだてあげて、その気にさせるという意味に使って来た。
少しでもいい外交、内政をして欲しいからだ。
しかし、このニュースを知って、私はつくづく思った。
安倍首相ほどほめ殺しのし甲斐がない、どうしようもないダメ人間はいないと。
安倍首相は元旦に放送されたテレビ朝日のインタビューでロシアとの平和条約締結交渉を巡り、プーチン大統領にこう説明した事を明らかにしたらしい。
「(在日米軍は)ロシアに敵対的なものではない」と。
もしこれが事実なら、安倍首相は私が提唱した事の真逆をやっていたということだ。
私はかつて安倍首相をこうほめ殺した。
プーチン大統領の脅しを逆手にとって、トランプ大統領をこう説得しろと。
もはや米国にとってのロシアの脅威は、北方領土にはないと。
だから北方領土二島が返還されたあかつきには、そこに在日米軍は不要であり、だから配置しないとひとこと言ってくれと。
ついでに言えば、主権を放棄したと批判したプーチン大統領の間違いを正すために、辺野古移設も取り止めると言ってくれと。
そう明言してくれたら、日ロ関係も日米関係も歴史的に改善し、それは米ロ関係の改善にもつながると。
相手は雇用、経済重視のトランプ大統領のことだ。
外交・安保にまるで無知、無関心なトランプ大統領のことだ。
防衛予算を増やし、さらなる米国産武器の購入を約束すれば、あっさり応じるかも知れないと。
そうすれば、安倍首相は在日米軍基地の縮小と北方領土返還という2大政治目標を同時に達成でき、これでさらなる長期政権間違いなしだと。
それはトランプさん、あなたにとっても助けになると。
実際のところ、安倍首相はトランプ大統領とも、プーチン大統領とも「良好な信頼関係」を築いたと自慢している。
だからこそ、安倍首相がそう決断すれば、それは可能なのだと。
残念ながら、この私の「ほめ殺し」は安倍首相に通用しなかったようだ。
トランプ大統領がプーチン大統領に直接そう約束するならともかく、対米従属の安倍首相がそう説明して、プーチン大統領が乗って来るはずがない。
プーチン大統領の安倍首相に対する信頼感は木っ端みじんに吹き飛んで、北方領土問題の解決は、もはや絶望的になった。
密約でごまかす事すら出来なくなった。
もちろん北方領土問題の解決で国民の信を問う事は出来なくなった。
私の「ほめ殺し」は、辞書の意味の通りになったという事である(了)
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