新年の最大の政治ニュースは、新元号の公表が4月1日になったことだ。
その決定の背景に何があったのか。
それをもっとも正確に伝えてくれたのがきょう1月3日の読売新聞だ。
衛藤晟一前首相補佐官に代表される「保守派」は、5月1日の新天皇による政令の公布によってはじめて公表されるべきだと、最後まで強く訴えたという。
天皇一代に元号一つを定める「一世一元」制を守るには、新天皇がみずから新元号を公布しなければいけないからだ。
なぜ、こんな重大な問題が生じたのか。
それは2016年8月8日の、天皇陛下のあの「おことば」によって、生前退位の意思が示され、それが世論の受け入れるところとなったからである。
私は日本の天皇制について深い造詣も特別の思い入れもないが、あの「おことば」は天皇制の根幹にかかわる重大な意味合いがあったことをあらためて認識させられる。
そして、その天皇制の根幹が、「保守派」たちの強い反対にも関わらず、「保守派」を支持基盤とする安倍首相の手によって、「国民生活に影響するシステム改修」を最優先する理由であっさりに変えられた事に注目する。
読売新聞の記事によれば、安倍首相は最後まで悩んだという。
その背中を押したのは、自らも事前公表に否定的な麻生副総理だったという。
「陛下は国民が混乱することは望んでおられません。4月1日に(事前公表)すればいいんじゃないですか」。
「麻生さんがそう言うなら」と安倍首相が応じたという。
これを読売新聞は、「4月1日公表」が決まった瞬間だった、と書いている。
なんという大げさな書き方か。
そして、なんといういい加減な形で天皇制の根幹が崩された事か。
保守派がどんなに抵抗しても、安倍首相と麻生副総理の二人が決めれば決まるのだ。
安倍首相と麻生副総理の二人が天皇制の根幹を崩したのだ。
そして、その理由は国民生活の最優先である。
まさしく天皇制より国民生活が優先されたのだ。
そして、その原因を作ったのは天皇陛下のあの「おことば」だったのだ。
つまり天皇陛下が、おそらく後に続く皇太子たちの為に、自分の手で天皇制の根幹を変えようとされたのだ。
安倍政権は、その天皇陛下の「おことば」に抵抗し、生前退位は今上天皇限りすると決定した。
しかし、それを決めるのは国民だ。
国民が今後も生前退位を認めるなら、いかなる政権もその国民の意思に反す事は出来ない。
天皇陛下の「おことば」は国民にその決断を求めたのだ。
最後に問われるのは国民の意識であり決断である。
天皇制の未来を決めるのはこの国の「保守派」ではない。
国民であるという事である(了)
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