新党憲法9条

憲法9条それは希望

外国人と共生する覚悟

 国会の終了と共に、政治は来年7月の参院選挙に向けた政局に一直線だ。

 誰も外国人労働者受け入れ拡大法案の事など話題にしない。

 しかし、次の国会で再び議論が始まる。

 その時に備え、いまこそ与野党は考えなければいけないのだ。

 国会で大騒ぎになっていた12月8日の毎日新聞のオピニオン欄に
上野千鶴子東大名誉教授の意見が掲載されていた。

 私はそれに注目した。

 その書き出しは次のような言葉から始まっていた。

 「私は反省している。昨年2月に中日新聞で『日本は多文化共生に
耐えられない』と移民受け入れに否定的な見解を示して、在日外国人
支援の関係者から批判を浴びた。現在の私は『移民受け入れは不可避
であり、彼らに日本国民同様の権利を保障すべきだ』と考えている・
・・」

 この言葉の中にこそ、今度の外国人労働者受け入れ拡大法案の問題
の本質がある。

 つまり、外国人労働者受け入れ拡大法案問題の最大の問題点は、外
国人労働者受け入れ拡大法案の内容の「生煮え」や、その「生煮え」
法案を無理に強行採決した安倍政権の暴挙であることは言うまでもない
が、本当の問題は、十分な体制にして受け入れたとしても、その後に、
彼ら外国人と我々がどう共生していけるか、行くべきか、という問題
なのである。

 彼女はいわゆるリベラルな知識人であり人権擁護や差別と闘う人だ。

 そのリベラルな知識人が本音を漏らしたとたん、おそらく同じよう
な立場の人から批判を受けた。

 その批判に負けて考えを変えざるを得なかった上野教授が、しかし
同時にこう反論している。

 「野党が多文化共生社会のビジョンを語っていないことには不満を
抱いている」と。

 そして、批判を受けて変えた本音について、次のように今でも弁解
している。

 移民に寛大だった欧米に今移民排斥の動きが起きてる。日本に移民を
受け入れる覚悟が出来ているのかと。

 戦前においては植民地で差別をし、戦後もなお外国人に差別を続ける
日本に移民を受け入れる覚悟はあるのかと。

 まさしく、「外国人と共生する覚悟」こそ、外国人労働者受け入れ拡
充法案がわれわれに問うている最大の問題なのである。

 そう思っていたらきょう12月16日の朝日新聞が「経済気象台」で
「外国人と共生する覚悟」と題して、スイスの作家の言葉を引用してこ
うこう書いているのを見つけた。

 「我々は労働力を呼んだが、やってきたのは人間だった」と。

 安倍政権が外国人を人間だとみていないことこそが問題なのだと。

 その通りだ。そういって安倍批判をするのは正しい。

 野党の安倍批判は正しい。

 しかし、問題はその先だ。

 人間とみなした外国人と差別なく共生する覚悟があるのかということだ。

 私は思う。

 この問題は憲法9条の問題と同じだ。

 世界の誰もが出来ない、しかし、それでも目指さなければならないのが
非武装、不戦である。

 日本がそれを目指そうとする以上、日本は欧米でも出来ない外国人との
真の共生社会をどの国よりも立派に実現する覚悟を持たないといけないと
いうことだ。

 入管法改正をめぐる国会議論はこれからも続くだろう。

 その時こそ、右翼も左翼も本音で議論しなければいけない時が来る(了)

Comment On Facebook