トランプ大統領と習近平主席は12月1日にアルゼンチンで開かれた首脳会談で、追加関税の発動猶予を決め、90日で知的財産権を含めた解決策をまとめると合意した。
やはり米中は対決を避けたと思った。
ところがその直後の同じ1日に、カナダで華為技術(ファーウェイ)の副社長が逮捕されるというニュースが流された。
これには驚いた。
しかし、私が意外だったのは、そのニュースに対する中国政府の反応が抑制的だったことだ。
やはり中国の米国に対する譲歩の姿勢は本物だったのか。
そうであれば米中対決は決して戦争につながらない。
そう私は楽観した。
ところが、今朝のテレビのニュースを見てまた驚いた。
王毅外相は米国とカナダの駐中国大使を呼び出して強く抗議し、直ちに逮捕を撤回せよ、さもなければ厳しい対抗措置を取ると伝えたというのだ。
ここに至ってファーウェイ問題の行方が見通せなくなった。しかし考えてみれば中国の反発は当然だ。中国の技術が米国の安全保障を脅かすからといって、中国企業を世界から締め出す。こんなことを公然と言っていきなり副社長を逮捕するのは、誰が見ても暴挙だ。
だから米国はその口実としてイラン制裁破りを理由にあげて逮捕した。
しかし、イラン制裁破りでさえも逮捕の理由にならないのだ。
イランが核合意を破ったといってイランに制裁を課したのはトランプの米国だけだ。米国の言いなりになる国際原子力機構(IAEA)でさえイランは合意を順守していると認めている。
つまり、米国がファーウェイ副社長を逮捕したことは、米国の一方的な暴挙なのだ。百歩譲って中国がサイバー攻撃をしているとしても、サイバー攻撃を誰よりも早く、大規模に行って来たのは米国だ。
つまり、米国は、自国が開発し、適用して来た軍事技術に逆襲されはじめたのだ。だから、核兵器と同じように、みずからが進んでサイバー攻撃を止め、サイバー技術を軍事目的に使わないような国際的合意作りに努めなければいけないのだ。
ところが、米国議会は共和党も民主党も、トランプ嫌いも、一致して中国を許さないと言っている。
これでは、中国も黙って引き下がるわけにはいかないだろう。なにしろ中国は米国に負けじ劣らぬ覇権主義の国だ。しかも、ついこの前までは米国にはとてもかなわなかったけれど、急速に米国との国力の差を縮めている。
中国にとっても科学技術は中国の将来がかかった生命線だ。譲れないはずだ。
もはやファーウェイ問題は、世界中が中止する最大の国際問題になり予感がする。
しかし、ここでも日本政府は真っ先に米国に従う動きを見せている。
安倍首相は世界一有利な立場にあるというのに、なぜもっとうまく立ち回れないのだろうか(了)
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