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米中サイバー戦争勃発と、問われる日本の自主外交

 中国の通信機器最大手である華為技術(ファーウェイ)の最高幹部がカナダで逮捕されたというニュースが世界を駆け巡った。

 ほんの数日前には、アルゼチンでトランプ・習近平会談が行われ、貿易戦争で和解の兆しが見えたばかりだった。

 だから私はこのニュースに衝撃を受けた。

 しかし、きょうの各紙を見てさらに衝撃を受けた。

 それらの記事に書かれている事を断片的に羅列するとこうだ。

 すなわち、これは氷山の一角で、ファーウェイをはじめとする中国企業がイランなどに米国製品を輸出しているという制裁違反容疑は、2年以上も前から米国の捜査対象となっていた。

 さらに言えば、ファーウェイをはじめとする中国企業と米政府の争いは、イラン制裁違反が取りざたされる以前から続けられてきた。

 米国政府は、中国共産党と政府、軍、そして中国の民間企業はつながっており、他国の政府や企業を人民解放軍のサイバー部隊などがハッキングし、盗んだ知的財産などの情報は中国の民間企業に渡されている、という認識で警戒感を強めて来た。

 最近、第5世代移動通信システムである「5G(筆者註:5Gとは現在の4Gの100倍とも言われる超高速のシステム。5Gの時代になると、世の中のありとあらゆるものがネットワークで接続され、SF映画のような世界が到来することになるらしい)」が取りざたされるようになり、米国の危機感は一気に高まった。

 報じられるこれらの指摘を考えると、10月4日のあのペンス副大統領の対中宣戦布告演説の意味がよくわかる。

 これは米中のサイバー戦争の勃発と言う事なのだ。

 戦争である以上、米国は同盟国に協調を求めて来る。

 実際のところ、今回の逮捕は、ファーウェイを排除すべきだとの強い米国の圧力に、カナダ当局が沿った結果だ。

 最近では、オーストラリアやニュージーランドがファーウェイの電子機器を5Gのインフラから締め出す措置を決定している。

 英国の通信分野も締め出しの方向で調整が行われているらしい。

 これらの国は、米国と諜報活動を共有する協定を結んでいる、いわゆる「ファイブ・アイズ(米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド)」のメンバーである。

 そして日本だ。

 米国の圧力は当然ながら日本にも及んでくる。

 しかし、スマホなどファーウェイ製品はすでに日本でも人気が高く、消費者の支持を得ているという。日本も2019年から5G時代が始まることになっており、日本の今後の経済成長を牽引すると期待されているという。

 絵にかいたような米国と中国のどちらをとるかの板挟みだ。

 米中対立が激しくなっていく中で、いや米ロ関係も対立が激しくなっていく中で、日本の国益を最優先した自主、自立外交が、待ったなしに求められる時代がやってくるという事である(了)

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