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北方領土問題の鍵を握る「日米地位協定の考え方」という極秘文書

 11月25日の天木塾で講師として来てもらった前泊博盛沖縄国際
大学教授から、北方領土問題の鍵を握っているのは「日米地位協定の考
え方」という外務省の機密内部文書であることを教えてもらった。

 その要旨はこうだ。

 すなわち、外務官僚たちは、あの日米地位協定の解釈について、条文
を見るだけではわからない地位協定の解釈、言いかえれば運用マニュア
すべて米国に都合のいいように日米地位協定を実施して来た。

 このとんでもない、国民を裏切る文書を沖縄の琉球新報がすっぱ抜い
てスクープ報道したのは2004年1月元旦だった。

 外務省を解雇されたばかりの私は、当時その報道を知って驚いたこと
をいまでも思い出す。

 つまり日米安保条約の密約ぶりが一番凝縮されたのが、この外務官僚
たちが勝手に作った「日米地位協定の考え方」つまり運用マニュアル
なのだ。

 そして、ここからがこのメルマガの本論なのだが、いまや安倍首相が
歴史的偉業として成し遂げ、解散・総選挙に打って出ようとしている
北方領土の鍵を握るのがこのマニュアルなのである。

 外務官僚の書いたマニュアルにはこう書かれている。

 「・・・このような考え方(つまり日本が米国の要求に応じないとい
う事は安保条約上予想しえないと言う意味)からすれば、例えば北方
領土の返還の条件として、『返還後の北方領土には(米軍)施設・区域
を設けない』との法的義務をあらかじめ一般的に日本側が負うような事
をソ連側と約することは、安保条約・地位協定上問題があるということ
になる・・・」

 こも運用マニュアルは、琉球新報がスクープした後、「日米地位協定
の考え方 増補版」(高文研)として出版され、公表されている。

 その31ページに上記の文章がそのまま公開されている。

 ロシアそれを研究していないはずがない。

 ロシアの側近が訪ロした谷内正太郎NSC局長に問いただしたのは
まさにこの点だ。

 そして谷内局長はマニュアル通り、約束できない、米軍
が在日米軍基地を返還後の北方領土に置く可能性をあらかじめ否定する
事は出来ない、と、馬鹿正直に答えてしまっただ。

 そこでプーチン大統領は安倍首相に迫ったのだ。

 「君の側近が島に米軍基地が置かれる可能性があると言ったそうだが、
それでは交渉は終わる」と。

 慌てた安倍首相は、「全くの誤解だ、これから交渉しよう」、と応じ
たのだ。

 そして安倍首相は、あらためて外務省の運用マニュアルの検証を命じ、
運用マニュアルはそれを書いた当時の外務官僚の個人的見解だと判断し、
ロシア側との間で2島に米軍を置かない事を確認することは安保条約上
も可能だと結論づけ、それを安倍首相みずからプーチンに大統領に、
そして谷内正太郎NSC局長を派遣してロシア側に伝えたというのだ。

 これが、安倍首相が2島先行返還という決断に踏み切り、そして、
やれると張り切っている背景なのである。

 こんな重要なスクープ記事を朝日新聞は11月16日の紙面で報じて
いたのだ。

 見落としていた私に、それを教えてくれたのが前泊教授だった。

 琉球新報記者として外務省の運用マニュアルについてスクープ取材し
た前泊教授こそ、沖縄問題のキーパーソンだけではなく、いまや北方
領土問題解決の鍵を握るキーパーソンでもあるのだ。

 そして、最後に次の言葉でこのメルマガを締めくくりたい。

 私がこのメルマガで書いてきた事を、きょう11月27日発売のアサ
ヒ芸能(12月6日号)で佐藤優が、私がこれまで書いてきた事のすべ
てをばらしている。

 恐るべき佐藤優だ。

 佐藤優はまさしく安倍首相の2島先行返還の知恵袋である(了)

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