安倍首相がまんまとプーチン大統領の術中にはまってしまったことは、もはや皆が言ったり書いたりしているから、これ以上私が語る必要はないだろう。
しかし誰もが沈黙している事がある。
それは谷内正太郎国家安全保障局長(NSC局長)の大失策の事だ。
ここまでに至る安倍首相とプーチン大統領の6年間の北方領土外交交渉の中で、決定的に重要な局面があった。
それは、特命を受けた谷内正太郎NSC局長が2016年11月に訪ロし、カウンターパートであるロシアのパトルシェフ安全保障会議書記と会談した時だ。
あの時、返還後の北方領土に在日米軍を駐留させることになるのかとパトルシェフ書記に聞かれた谷内正太郎局長は、(島に基地が置かれる)「可能性はある」と答えてしまった。
そしてその事が報じられ皆の知るところとなった。
対米従属が身に染みついた外務官僚出身の谷内局長にとって、この言葉は当然のごとく口に出たに違いない。
しかし、彼はこう切り返すべきだったのだ。
そんな重要な事を自分に聞かれても答えることは出来ない。
その質問はプーチン大統領が首脳会談で安倍首相に直接聞くべきものだ。
そうプーチン大統領に伝えて欲しいと。
そうすれば、プーチン大統領も、身構え、本気になって安倍首相との首脳会談に臨んだに違いない。
ところが、この谷内局長の不用意な発言によって日本不利な立場に立った。
対米従属から抜けきれない日本を察知したプーチン大統領は、足元を見透かしたように、それ以降、みずから繰り返し、北方領土問題と日米同盟のどちらをとるかと言わんばかりに安倍首相に迫った。
そして、北方領土問題の解決に焦る安倍首相に、ついに米軍基地は起きませんと言わせたのだ。
安倍首相は、なんとか交渉を進展させるために、政府内の議論を十分にする事なく、自らの判断で2島返還を口にし、そしてそこに軍事基地を置かないと言わざるを得ない状況に追い込まれたのだ。
谷内正太郎NSC局長とは外務省で同期である私だから遠慮なく言わせてもらう。
安倍首相に乞われて外交指南役になった谷内正太郎は、安倍首相に忖度するあまり外交を捻じ曲げてしまったのだ。
ことごとく安倍外交が行き詰まったのは、元外務官僚である谷内正太郎局長の責任と言うより、安倍首相に乞われて外交の指南役になった谷内正太郎NSC局長が、安倍首相に忖度した結果なのだ。
本来ならば、メディアこそ、そんな谷内正太郎局長の失策を問い詰めなければいけないのであるが、安倍首相に忖度したメディアは、谷内正太郎局長をメディアに露出させて説明責任を求めるどころか、メディアから雲隠れする事を許している。
その結果、谷内正太郎局長を実力以上に大きく見せてしまったのだ。
メディアは安倍外交の行き詰まりの張本人である谷内正太郎局長を、もっとメディアの前に出して喋らせなくてはいけない。
批判があってこそ、安倍・谷内外交は鍛えられていくのだから(了)
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