外国人労働者の受け入れを広げるための出入国管理法改正案(私はこれを便宜的に外国労働者法案と略称する)が、きのう閣議決定された。
どう考えても準備不足であり、拙速だ。
だから、反安倍政権のメディアや野党は次のように一斉に批判するのは無理もない。
見切り発車だ。
自民党議員や法務省官僚が安倍首相に忖度した結果だ。
人手不足に悩む財界の要請に安倍首相が迎合した結果だ。
このままでは人権無視の奴隷制度をつくるようなものだ、
などなど。
おまけに移民政策に反対する意見が、自民党内部からはもとより、野党からも出る始末だ。
こんな状態で今度の臨時国会で外国労働者法案を成立させるわけにはいかない。
その通りだ。
しかし、もはや日本経済は、いや日本の労働事情は、外国人労働者なしでは成り立たない事も事実である。
そして、その必要性が唱えられて久しい。
私がまだ外務省にいた十数年前、いやもっと前から、外国労働者の必要性は高まっていたのだ。
しかし、外務省や法務省は、まともにこの問題に取り組もうとしなかった。
企業の研修生ならいいというごまかしをやり、企業研修生を受け入れる担当機関をつくって、天下りをむさぼって来た。
そして、とうとう、研修生ではなく外国労働者を公然と導入せざるを得ない状況になってしまったのだ。
いくら外国労働者法案の採決を引き延ばしても、つぎの国会では成立させなければいけない。
そして外国労働者の受け入れを決定し、外国労働者の人権を尊重すれば、やがて外国労働者導入をめぐる議論は、移民政策問題への議論に発展する事は必至だ。
政治はこの問題をもっとはやくから真剣に議論し、国民にその是非を問うべきだったのだ。
メディアや野党が安倍批判をするのはいい。
だけど、メディアも野党も批判だけでは無責任だ。
政府と一体になって早急に正しい外国労働者法案を成立させなければいけない。
そしてその時は待ったなしに来ている。
外国労働者法案を巡るドタバタ劇は、この国の政治にもはや怠慢は許されなくなったことを教えてくれている(了)
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