驚いた。
安倍首相はきのう10月29日の衆院本会議で代表質問に答え、先の訪中の際に習近平主席と三原則と言う言葉を使って今後の日中関係について確認した事を明らかにしたというのだ。
きょうの各紙が報じている。
そして菅官房長官もまたきのう29日の記者会見で、次のように説明したという。
「(三つの原則は)日本が一貫して主張してきたもので、(安倍)首相から改めて提起した。これらの原則については会談で中国側とも完全に一致している」と。
菅官房長官は東京で留守番していたから日中首脳会談には立ち会っていない。
だからこの官房長官の記者会見の言葉は、会談に立ち会った安倍首相や西村官房副長官、外務省幹部と打ち合わせた後の言葉である。
つまり、これで行こうとなったわけだ。
それではなぜ、わざわざ西村康稔官房副長官は、首脳会談直後に現地で「三原則という言い方はしていない」と釈明し、外務省幹部も、「原則は呼びかけたが三原則という言葉は使わなかった」と同行記者に説明したのだろう。
思うに、会談に立ち会っていた外務省幹部と西村康稔官房副長官の言う通り、中国側は会談では「三原則」と言う言葉は使わなかった。
しかし報道される三つの原則については賛成していた。
外務省幹部と、その外務省幹部の助言に頷いた西村康稔官房副長官は、後で問題になったらまずいという官僚的発想で、同行記者たちに正確を期すためにそうわざわざ釈明したのだ。
それを読売と毎日の記者がこれはニュース性があると感じて書いた。
その記事を見た私とか日刊ゲンダイの記者は、ここぞとばかり改ざんだ、嘘つきだと騒いで代表質問にまで発展した。
安倍首相は激怒し、菅官房長官と相談し、三原則という言葉を使ったかどうかなど些末な問題だ、役人の臆病な懸念だ、三つの原則を確認したのは事実だから、それを自分(安倍首相)は繰り返す、それでいいだろう。それでいいでしょう。堂々と強気で行きましょう(菅官房長官)となったのだ。
つまらない心配をした外務省幹部は安倍・菅コンビを激怒させ、外務省幹部に従った西村康稔官房副長官はまたしても安倍首相の足を引っ張るヘマをやらかしたということだ。
以上はあくまでも私の勝手な推測だ。
その真実がわかるのは、来年6月に習近平主席が訪日する時だ。
その時こそ三原則が文書で記録される。
その通りの三原則が文書に盛り込まれなければ、結果的に安倍首相がウソをついた事になる。
その時もなお三原則の文書が発表されないとしたら、日中関係は安倍首相訪中時より後退した事になる。
そして、その時は、三原則の言葉を使ったかどうかは、もはやどうでもいい事になる。
なぜならば三原則そのものが雲散霧消するからである。
8カ月も先の日中関係など、どうなっているか誰もわからない。
だからこの問題も、わずか一日のドタバタ劇で終わるだろう(了)
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