安倍首相が国会で所信表明演説をしながら、代表質問から逃げたのは2007年の第一次安倍政権の時だった。
あの時は辞任だった。
しかし今度は違う。
中国へ高飛びだ。
そして、今度はあの時のような敵前逃亡ではない。
立派な外交だ。
なにしろ、民主党政権の野田首相以来、冷え込んだ日中関係の改善を象徴する7年ぶりの日本の首相の公式訪問である。
さすがの野党も、代表質問を後まわしすることを認めざるを得なかった。
ところがである。
7年ぶりの日本の首相の公式訪問であるというのに、どのような成果があるのか、どの新聞記事を見てもさっぱりわからない。
きょう訪中するというのに、その成果を言い当てる記事は、きょうのどの新聞も教えてくれない。
それどころか、主要な政治・外交問題について立場の違いばかりが目立つ。
北朝鮮の非核化問題しかり、
中国の南、東シナ海軍事進出問題しかり、
尖閣問題しかり。
米国の保護主義に対する対応しかり。
東シナ海油田の共同開発問題しかり。
一体、今度の安倍訪中の目玉は何なのか。
そう思っていたらきょう10月25日の朝日が教えてくれた。
今度の訪中は、来年6月に大阪で開催される主要20カ国・地域首脳会議(G20)にあわせて訪日が有力視される習近平主席の訪日の地ならしだと。
今回の訪中では見送られる事になった「第5の政治文書」を、その時までに準備するための模索のための訪中であると。
すなわち、日中国交正常化文書である1972年の日中共同声明(田中政権)、日中平和友好関係を謳った1978年の日中平和友好条約(福田赳夫政権)、アジア金融危機による困難克服を目指す1998年の日中共同宣言(小渕政権)、日中関係を「戦略的互恵関係」と位置づけた2008年の日中共同声明(福田康夫政権)につぐ、第五の政治文書の事である。
なんということか。
今度の安倍訪中では何の文書、声明も出さず、習近平主席訪日にそなえた露払いであるというのだ。
民間経済協力や日本の対中ODA停止などが唯一の成果であるとしたら、7年ぶりの日本の首相の訪中にしてはあまりにもさみしい。
やはり今度の訪中は無理があったのだ。
「両首脳の相互訪問の実現」という見せかけの日中関係改善を急いだだけの安倍パフォーマンス訪中だという事である(了)
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