思った通り、プーチン大統領の日ロ平和条約提案の話でニュースは持ち切りだ。
そして、メディアに流される解説は、プーチン大統領にしてやられたと騒ぎ、何も言い返さなかった安倍首相を批判するものばかりだ。
何も言い返さなかった安倍首相は確かに失敗だった。
言い返せなかった安倍首相は情けなかった。
しかし、言い返せなかったのは、4島返還が平和条約締結の前提だ、と言う事ではない。
「ウラジミール、よくぞ私の呼びかけに応じてくれた」
「その通り、前提条件なしで平和条約を結ぼう」と、くせ球を打ち返すべきだったのだ。
日ロ平和条約の締結は、はまさしく北朝鮮との国交正常化条約締結交渉と同じだ。
拉致問題と国交正常化の包括的解決と同じように、平和条約と領土問題は包括的に解決しなければならない問題だ。
そして、二つとも正しい歴史認識に直結する戦後政治の総決算なのだ。
だからこそ、北朝鮮との国交正常化交渉といい、日ロ平和条約交渉といい、簡単にはまとまらない。
前提条件を付けては話は進まない。
しかし、話を始めなくては何も進まない。
話が始まってはじめて、あらゆる問題があらためて浮き彫りになるのだ。
もちろん、その中の一つは、北方領土返還に一番反対しているのは米国だという紛れもない事実がある。
あらゆる問題が浮き彫りになり、何も知らない国民が知ってはじめて、本物の交渉になる。
プーチン大統領は米国を取るかロシアを取るか迫っているのだ。
そして、それに対する安倍首相の答えは米国を取ることではない。
米国もロシアもどちらも取るということだ。
そう言うことによって、日本は米ロ両国をけん制できる。
米ロ両国の和解を促す出来る。
そもそも、皆が当たり前のように強調する、「4島の帰属を明らかにした上での平和条約締結」というこれまでの基本方針が正しかったのか。
この機会に、そこまでさかのぼって議論をし直さなければいけないのだ。
安倍首相は、なぜ堂々とプーチン大統領と平和交渉を行おうと言わないのだろう。
自民党に対して、野党に対して、国民に対して、それこそが私しか出来ない事だと言わないのだろう。
何のための長期政権であり、一強政権なのか。
何のために22回も首脳会談を重ねて来たのか。
安倍首相のすべてに批判的な私だが、このプーチン大統領の平和条約提案については外交指南役である谷内NSC局長に代わりたいぐらいだ。
そして、沈黙を続ける影の外交指南役である佐藤優の意見を聞いてみたいものである(了)
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