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米国のイラン原油禁輸命令に屈して訪問を止めた安倍外交


 きょう7月3日の各紙が報じた。

 安倍首相は2日の政府与党連絡会議で、7月11日ー18日の日程でベルギー、フランス、サウジアラビア、エジプトを歴訪する事を明らかにしたと。

 いつもの私なら、無駄なパフォーマンス外遊に明け暮れる安倍首相を批判するところだ。

 そして、こんな森友・加計疑惑隠しの外遊を野党は許していけないと書くところだ。

 しかし、今度だけは、違う。

 その訪問国から、イランが外れている事に私は注目した。

 まさしく今度の外遊は、トランプのイラン原油禁輸命令に屈して急きょイラン訪問を取りやめざるを得なかった屈辱的な外遊なのだ。

 すなわち、安倍首相が7月に欧州・中東を外遊することは前から報道されていた。

 そして、その中にはイランが入っていた。

 なぜならば安倍首相はイラン訪問にこだわっていたからだ。

 日本の現職首相がイランを訪問するのは1978年の福田赳夫以来、40年ぶりだ。

 おまけに日本は伝統的にイランとの関係を重視して来た。

 イラクとイランが戦争をした時も、安倍首相の父である安倍晋太郎は外相として両国との良好な関係を使って仲介外交をしたくらいだ。

 ところがついにトランプの米国は日本に対してイラン原油の禁輸を要求して来た。

 これを知った時、私は安倍首相のイラン訪問は難しくなったと思った。

 しかし、どの報道もその事を書かなかった。

 そして、きのう発売の週刊ダイヤモンド(7月7日号)で、元共同通信記者の後藤謙次氏が、ついに書いた(連載「永田町ライブ!」)

 米国を刺激するのを避けるとの理由で安倍のイラン訪問は見送りになることが確定的になったと。

 この予言どおり、きのう発表された安倍首相の外遊の中には、見事にイランの名前は落ちている。

 首相の外遊となれば、かなり前から訪問国政府と準備を進めて来たはずだ。

 安倍政権はイラン政府とは安倍訪問実現で合意していたはずだ。

 それを、米国のイラン原油禁輸要求に屈して、あっさり中止したのだ。

 イラン政府は、この手のひらを返したような外交非礼を決して忘れないだろう。

 何よりも、イラン制裁に加わろうとする日本を忘れないだろう。

 対米従属外交のために、またひとつ、日本は伝統的な友好国を失う事になる。

 大きな外交的失態だ。

 ところが、きょうの各紙はその事に触れる記事は皆無だ。

 まるで何事もなかったかのように、単なる外遊日程の発表記事にしてしまっている。

 安倍首相に都合の悪い外交は決して報道しないのだ。

 メディアこそ、「外交の安倍」という虚像をづくりあげてきた張本人だ。

 きょう7月3日の安倍外遊を報じる新聞報道は、その動かぬ証拠である(了)

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