小野寺防衛相はマティス米国防長官との会談後の記者会見で、元米軍属による日本女性の殺害事件について、遺族に日米両政府が賠償金を支払う事で合意した事を明らかにしたという。
これはまさしくマティス国防長官への手土産だ。
この事件、つまり2016年に起きた元米軍属による日本女性女性殺害事件については、日本の司法が元米軍属に遺族に対する損害賠償支払いを命じた。
本人が負担できない場合は原則として米国政府が支払う事が日米地位協定で定められている。
ところが米国がその支払いを拒否するため、日本はその都度米国と交渉しなければいけなかった。
そしてつねに日本が事実上その大部分を肩代わりさせられてきた。
今度の事件もそうだった。
賠償金支払いの肩代わり交渉が行われていたのだ。
報道でそれを知って、私はメルマガで書いた。
なぜメディアはこの問題を大きく取り上げて国民に知らせないのかと。
なぜ野党が国会でこの問題を取り上げないのかと。
その後、メディアも野党も、何の反応もないまま、いきなりマティス国防長官の来日に合わせるかのように、小野寺防衛大臣が「合意した」と発表したのだ。
これではまるでマティス米国防長官の訪日のお礼として手土産を持たせたようなものだ。
こんな重要な合意にもかかわらず、きょうの各紙はすべて一段の小さな記事で済ませている。
しかも、賠償金額は不明だ。
米国と日本の支払い分担率も不明だ。
いや、そもそも米国が本当に支払いに応じかどうかもはっきりしない。
小野寺大臣が記者に語った時の映像がテレビで流されたが、小野寺大臣は、被害者のプライバシーにかかわるという理由で、一切を明らかにしない。
記者からは、そんなふざけた小野寺大臣の発言に対し、誰一人として追及した者はいなかった。
日本が主権を放棄しているというのに、メディアはそのことを一切報じないのである。
かくなる上は野党は国会で国民に代わって問いたださなければいけない。
今度の事件で米軍が支払わなくてはいけない金額はいくらだったのかと。
米国はその支払いに応じたのかと。
もし応じなかったとすれば日本はいくら肩代わりしたのかと。
もし国会でこの手土産問題が追及されずに終わるなら、日本は一億総対米従属化してしまったという事である。
それでは憲法9条は守ることは出来ない。
事態は深刻である(了)
Comment On Facebook