マティス米国防長官がきのう29日の訪日を最後に4日間の日中韓歴訪を終えた。
その目的は何か。
ズバリ、対立を抱えたままの中国との共存の確認と、日韓の懸念に対する火消しだ。
すなわち、最初の訪問国を中国に選び、いまや米国一強を脅かすほどの軍事、経済大国になった中国と、北朝鮮の非核化、南シナ海への中国進出、貿易摩擦、台湾問題などで緊張関係にあることを認めつつ、共存していくこととを確認しに違いない。
そして、中国の了解を取り付けた上で、韓国、日本を訪れ、米朝首脳会談後の同盟関係に懸念を抱く韓国と日本に対し、同盟関係は不変だと確認して見せたのだ。
見事なトランプ大統領の対アジア外交のフローアップだ。
いまや外交においては、ペンス副大統領に代わってマティス国防長官が副大統領になったごとくだ。
トランプ大統領にとってのペンス副大統領の価値は、キリスト教右派の支持をつなぎとめという内政上の役割にこそあるのだ。
おりからポンぺオ国務長官が北朝鮮の非核化交渉を一手に担って奔走している。
その一方でボルトン大統領補佐官はロシアに飛んで米ロ首脳会談のお膳立てを任された。
ボルトンをクビにする代わりに、同じく緊張関係にある対ロ外交、対NATO外交の担当にしたのだ。
ネオコンにとってはそっちのほうがふさわしいというわけだ。
かくてマティスとポンぺオによって北朝鮮の非核化は進められていく。
マティス、ポンぺオとの人脈がない日本は、ますます影響力を失う事になる。
韓国は南北融和という切り札がある。
しかし、歴史認識の違いを抱えたままの日本は、米国が北朝鮮との関係改善に踏み切った今、なすすべはない。
マティス、ポンぺオの言いなりに従うほかはない。
この事を見事に教えてくれたマティス国防長官の日中韓歴訪である(了)
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