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国際政治を一変させる「国抜きの非核化」の実現

 米朝首脳会談の成否を握る最大の問題は、いうまでもなく北朝鮮の非核化である。

 そしてこの問題について先手を打ったのが金正恩だ。

 つまり体制が保証されるなら核兵器は不要になると世界に向けて宣言したあの言葉だ。

 この言葉の投げかけた意味は、はかり知れないほど大きい。

 まさしく世界の多くの国や国民が悲願としている、地球上から核兵器を廃絶できるかどうかの決め手が、この言葉の中にあるのだ。

 その意味を知ってか知らずか、米国は北朝鮮に騙されないと言って、北朝鮮の非核化について、完全に検証され、二度と後戻りが出来ない非核化を求めた。

 そして非核化に応じないなら経済制裁で息の根を止めると脅かし、実践した。

 いうまでもなく経済制裁は武器を使わない攻撃だ。

 そして米国はそれでも非核化に応じないなら武力行使も辞さない、核攻撃も辞さないと公言して来た。

 米国の完全非核化要求は留まるところを知らない。

 核開発に関わった数千人に上る技術者を海外に移住させろとか、核兵器をすべて米国に引き渡せと言うまでに至った。

 その一方で、トランプの米国は、同時にイランの完全非核化に乗り出した。

 オバマが合意したイランとの核合意を抜け穴だらけだと酷評し、一方的に破棄し、イランの完全非核化のために制裁強化に踏み切ろうとしている。

 しかもその理由は、中東で唯一の核保有国であるイスラエルを守るためである。

 この傲慢でダブルスタンダードな米国の非核化要求は、しかし、金正恩の一言で破綻する。

 私が金正恩ならこういうだろう。

 米国の望む通り、北朝鮮は検証可能で不可逆的な完全非核化を決めた。

 中国にその証人になってもらう。

 北朝鮮の核兵器のすべてを中国に移管しても構わないと。

 もし中国がこの要求に応じれば誰も反対は出来ない。

 非核化実現を米国だけに頼る必要はどこにもないのだ。

 米国だけが非核化を強要し、判断する権限を独占しているわけではない。

 米国は信用できるが中国は信用できないと考えている国は多数ではない。

 米国抜きでも非核化はできるのだ。

 むしろ米国抜きの方が非核化は進む。

 そしてまさしく同じ事がイランの核開発でも起こりつつある。

 米国が一方的に廃棄したイランとの核合意を、いま欧州とロシア、中国が米国抜きでも維持しようとしている。

 イランがそれを歓迎している。

 体制保証と経済開発への協力さえ確保されたら、核兵器など不要であるのはイランでも同じなのだ。

 これまでの国政政治の常識では、世界最大の軍事国家であり核保有国の米国抜きでは非核化交渉はあり得ないと考えられてきた。

 しかし、その常識が音を立てて崩れようとしている。

 繰り返して言う。

 米国抜きでも非核化の世界は実現できる。

 その事を誰かが言い出せば国際政治は一変する。

 それを北朝鮮の金正恩が言い出せばいいのだ。
 
 まさしく米朝首脳会談の隠されたテーマは「米国抜きの非核化」の実現である(了)

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