今度のトランプの突然の米朝首脳会談の中止は、首にすべきだったボルトンの言葉に従ったために、結果的にトランプがトランプでなくなり、その結果、大失策をおかそうとしている、そういう事だと私は見ている。
しかしまだトランプは大失策をするまでに至っていない。
まだ踏みとどまっている。
トランプは、米朝首脳会談の成功を自分の手柄にし、ノーベル平和賞までも手にしてオバマの上を行くつもりだった。
つまり米朝首脳会談はトランプの頭の中では決まりだった。
それに逆らう者はすぐに首にされるはずだった。
それをおそれたボルトンが、外交に素人であるトランプの「米国第一主義」の心理につけ込んで、ペンスを使って先手を打ったのだ。
ボルトンのリビア方式発言に怒った北朝鮮は米国を批判した。
ボルトンはすかさずペンスを使って北朝鮮批判を代弁させた。
ペンスの北朝鮮批判は過激極まり、北朝鮮を潰すとまで酷評した。
さすがにこれを聞いた北朝鮮は衝撃を受け、話が違うと言って、封印していた激しい言葉で応酬した。
ペンスを馬鹿者呼ばわりしたのだ。
馬鹿者呼ばわりする者をトランプは許さない。
ましてや朋友の副大統領が馬鹿者呼ばわりされたのだ。
それでも米朝会談を行うのですかとボルトンに囁かれ、それであの書簡を出したのだ。
あの書簡はトランプがボルトンに口述させたと米紙が報じたが、事実上の起案者はボルトンなのだ。
すべてをトップダウンで決めて来たトランプが、周りの意見に動かされるようになってはお終いだ。
トランプの言葉の中で私が注目したもうひとつの言葉は、米韓首脳会談を前にメディアの前で語った、中国の関与を批判した言葉だ。
これもボルトンたち強硬派の入れ知恵である。
二回目の中朝首脳会談の後で金正恩が米国への批判を始めた。
習近平が金正恩の後ろ盾になった。
気をつけろ。
トランプはこう入れ知恵されたのだ。
私はシンガポールに習近平が参加し、米朝首脳会談は事実上の米中首脳会談になるだろうと書いた。
まさしくそうなるだろう。
すでにトランプと習近平は、経済摩擦や中国の海上進出や台湾問題などで、せめぎ合っている。
米中首脳会談はすで始まっているのだ。
北朝鮮の非核化問題も、その一つになるというだけの事だ。
北朝鮮の非核化問題はこのまま頓挫することはない。
たとえ頓挫しても、トランプが北朝鮮を攻撃することはない。
北朝鮮が中国に軍事同盟を確認させた時点で米国の北朝鮮攻撃はなくなったのだ。
米朝首脳会談は米中首脳会談に吸収される形で再開されるだろう。
その時こそ安倍首相の日本が本当に孤立する時である(了)
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