安倍首相の突然の平昌五輪出席発表から一夜明け、今日の各紙は一斉にこれを報じた。
それらをよく読むと、様々な疑問が湧いてくる。
まず、なぜ突然にこのタイミングで出席を表明したかだ。
開会式までまだ先の話なのに。
菅官房長官は、開会式の直前に決めると言っていたのに。
二つ目は、これほど議論を呼ぶ平昌五輪出席を、なぜ、メディアのインタビューという形でリークしたかということだ。
しかも、よりによってもっとも反発が予想される右翼の産経新聞にスクープさせたかだ。
三つ目は、今度の出席を決断した理由は何だったのかということだ。
いみじくも安倍首相が理由の一つに挙げたのが、日本の選手たちを現地で激励するというものだった。
世論調査も安倍首相が行くべきだという声が過半数だ。
やはり安倍首相は行きたかったのだ。
隣の国で行われる五輪に全く行かないというマイナスより、行ったプラスのほうが大きい。
どうせ行くなら開会式に行ってメディアに大きく取り上げられたほうがいい。
そう判断したと私は思っている。
一部の報道では、米国からの要請があったと報じられている。
たしかに日米韓の結束を乱すなとか、北朝鮮に対する圧力強化を崩すなと、米国は日本に伝えている。
しかし、それらの要求に応えるためなら、何もみずからが開会式に出席しなければいけないわけではない。
そして、もし米国に命じられて急きょ五輪出席を表明したなら、どうしようもない対米従属だ。今回はそうではないと思っている。
四つ目は安倍首相自身が、みずから出席するリスクをどう考えているかだ。
安倍首相が挙げた理由は、日韓合意を守ることを直訴するということと、北朝鮮に対する圧力強化の為の日米韓の結束を確認するという事である。
しかし、文在寅大統領が安倍首相に直訴されたからといって日韓合意に戻るはずはなく、せいぜい、未来志向で解決するという努力目標の合意で終わる事は明らかだ。
そして今度の平昌五輪にわざわざ出かけて行って、そこで北朝鮮に対する圧力強化の日米韓結束を見せれば、北朝鮮は即座に五輪をボイコットするから、そんな事を文大統領が応じるはずがない。
もし、このふたつが曖昧な形で終わるなら、安倍首相の五輪出席は失敗だったとう批判が国内で高まる。
そんなリスクを冒してまで、安倍首相はなぜみずからの出席を早々と発表したのか。
なぜ麻生副総理や河野外相に任せなかったのか。
なぜ主要国で初めて、首脳がみずからが出席することにしたのか。
これは私にとっての最大の疑問だ。
メディアの中には、森友問題などの一連の疑惑追及がますます厳しくなる状況の中で、それらから目をそらすために、あえて論議を呼ぶことばかりしようとしてるのだというのがあった。
そう言われてみれば、ここにきて憲法9条改憲の動きを加速させているのもその一つに違いな。
やはり安倍首相にとっては、森友学園や加計学園、スパコン疑惑がこれからも最大の問題なのだ。
そう考えると、すべてが氷解する(了)
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