きょう5月11日に予定されていた憲法審査会が延期されるという。
安倍首相の突然の憲法9条3項追加宣言に、野党が反発したからだという。
いつもなら、安倍首相は野党第一党の民進党の蓮舫代表に向かって言うところだ。
批判ばかりしても支持率はあがらないと。
批判するなら対案を出したらどうかと。
ただでさえ意見が分かれる民進党であるが、こと憲法9条に関しては、民進党は完全に分裂状態だ。
なにしろ自衛隊の明記は民進党執行部の中でさえ提案しているぐらいだ。
だから安倍首相は憲法9条3項の追加を言い出したのだ。
さぞかし、「してやったり」と、安倍首相は思っているに違いない。
しかし、調子に乗り過ぎると落とし穴がある。
高転びとはこのことだ。
今度ばかりはブーメランのように批判が安倍首相に返って来る。
われらが同志である小林節教授が真っ先に喝破した。
自衛隊の明記は誰もが反対は出来ないが、問題は安倍首相の認める平和憲法の下の自衛隊(専守防衛の自衛隊)と、安倍首相が強行した安保法で認められた自衛隊の新たな任務を帯びた自衛隊の矛盾を、どう憲法上に明記するつもりかと。
安保法の審議の途中から公明党にすり寄って腰砕けになった阪田雅裕元内閣法制局長官さえも、言い出している。
安保法をつくって、自衛隊は自国を攻められなくても武力行使できるようになったのだから、2項を残した上で3項に自衛隊の規定を加える事は、技術的に難しいと。
御用学者の中には、ご丁寧に次のような3項の案文をわざわざ安倍首相のためにつくってやっている。
「国の存立を全うし、国民の安全を確保するために、法律の定めるところにより、戦力に至らない実力を備えた組織としての自衛隊を設置する」とすれば整合するのではないか、と。
これではますます何のことかわからなくなる。
憲法審査会の延期の理由は、実は野党の反発だけではなく、自民党の中で、3項追加の条文をどう書いたらよいか誰も分からないからだ。
石破茂氏は敗亡主義だと言って批判しているが、そんな批判をする以前の問題として、安倍首相の頭で考えている事は自民党の憲法審査会委員が文字に出来ないのだ。
文字に出来ないものをどうやって憲法の条文に出来るというのだろう。
蓮舫代表はいまこそ安倍首相に反撃すべきだ。
自民党の中で意見を統一してもらいたい。
そしてその結論を条文で示してもらいたい。
自民党委員らが書けないなら、安倍首相自身がその頭の中にある提案を文章にしたらどうかと。
安倍首相の頭で書けるはずがない。
安倍首相はぐうの音も出ないだろう。
これこそが、いじめられっぱなしの蓮舫代表がはじめて手に入れた究極のカウンターパンチである。
果たして蓮舫代表はその事に気づくだろうか(了)
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