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笑い話のような読売新聞のミサイル発射警報のスクープ記事 

 「私の考えは読売新聞を読めばわかる」

 そう安倍首相が国会で答弁したことで、一番迷惑を受けたのは読売新聞に違いない。

 なにしろ安倍首相が読売新聞は安倍政権の広報紙であると認めたようなものだからだ。

 広報新聞など誰が金を払って読むものか、という事になる。

 安倍首相に反発する国民は、読売新聞などクソくらえだとボイコットするに違いない。

 しかし、そう思って読売新聞を読めば、それなりの価値がある。

 きょう5月11日のスクープ記事もその一つだ。

 読売新聞だけに情報を流して大きくスクープさせ、政府は4月末までに北朝鮮有事に際する新しい情報システムを導入したと宣伝している。

 すなわち、これまでは、北朝鮮のミサイル発射情報は、官邸(内閣官房)からメールで関係省(総務省、国土交通省)に伝わり、それを関係省の担当官が手作業で国民(自治体や航空、船舶会社など)へ伝達していたが、新システムの導入によって、あらかじめ登録した航空、船舶会社などへは瞬時に自動送信できるシステムを導入したというのだ。

 この自動情報システムの導入によって、これまでの伝達システムでは着弾に間に合わないおそれがあったが(筆者註:北朝鮮からのミサイルが日本周辺に着弾するまでの時間は10分程度とみられているが、これまでは10数分かかっていたという)、新システムでは数分程度の伝達が可能になるという。

 なんという事だ。

 これまでの警戒情報システムは役に立たなかったのだ。

 それを数分程度に短縮できるとしたら、確かに改善だ。

 安倍政権の広報誌である読売新聞にスクープ報道させて宣伝する価値はある。

 しかし、その記事を丁寧に読んでみると驚くべき事がわかる。

 官邸が北朝鮮のミサイル発射情報を知ってから国民に知らせる時間が数分に短縮できるのは結構なことだ。

 官邸から国民への情報伝達が数分以内でも、官邸がその情報を受け取るまでには、まずミサイル発射を米軍が察知し、その米軍が防衛省に伝えて、防衛省から官邸に連絡が行く事になっている。

 その間、つまり北朝鮮がミサイルを発射したことを防衛省が知るまでの時間がどれぐらいかかるかは何も書いていない。

 その時間が数分以内でなければ、すべては「後の祭り」だ。

 そして北朝鮮がミサイルを発射し、それを米軍が察知し、米軍がわが防衛省に伝えて、その防衛省が官邸に伝えるまでの時間が全部で数分以内ということはまずありえない。

 いくら新しい警報システムを導入したところで、ほとんど意味がないのだ。

 読売新聞が書くべきは、北朝鮮が日本に向けてミサイルを撃ってくればお終いだということだ。

 そんな事を絶対にさせないような外交努力を最優先すべきであると言う事である(了)

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