きょう4月12日の日経新聞が「北朝鮮止める秘策はあるか」と題する秋田浩之記者の論評を掲載している。
そこに書かれている事はひとことで言えばこうだ。
核を持っていないからこそシリアは攻撃されたと考える北朝鮮が圧力にひるみ、核を手放すことは考えづらい。
北朝鮮の崩壊を望まない中国が本気で米国に協力するかも疑問だ。
だとすれば米国が最終的に武力行使に踏み切ることに真実味が帯びる。
しかし、ワシントンの米安保専門家や元高官らに聞くと「攻撃できるとは思わない」と一様に否定的だ。
その理由は三つある。
空爆すれば反撃を許し数万から数十万の死傷者が出かねない。
中国の同意のないまま攻撃すれば米中衝突の危険が生じる。
対北攻撃には日韓の了解と支援が欠かせないが、とりわけ韓国との調整が難しい。
そして大統領と識者や元高官の意見が違った場合、どちらが現実となるかについては、過去の例から見ると後者に理があるという。
クリントン政権は1994年に空爆を検討したが断念し、ブッシュ政権も2008年に北朝鮮を対テロ支援国家指定から外した。
私の記憶では、古くはあのケネディ大使もキューバ危機の時に犠牲者が多すぎるという高官の意見を取り入れて断念した。
そして秋田記者は次のようなシナリオを書いている。
北朝鮮は核とミサイルの実験を強行し一触即発の状態に近づく
戦争を回避しようと中国が米朝協議のお膳立てに動く。
駆け引きの末、核とミサイル実験の凍結などで米朝が合意して戦争が避けられる。
果たしてそうなるのか。
秋田記者は北朝鮮の出方を言い当てるのは難しいと書いている。
しかし、同時にトランプ大統領の出方を言い当てるのもまた難しいのだ。
なぜなら、いまのトランプ政権には、まだほとんど官僚たちの政治任命が行われていないからだ。
クシュナー、イバンカといった家族や、バノンなど一握りの側近の意見を聞いてすべてトランプ大統領が決めるからだ。
いつものようにながながと前置きを書いたが、要するに誰もがわからないということだ。
危機的状況にあるということだ。
しかし、私がここで言いたいのはその事ではない。
私がこの秋田記者の論評でもっとも注目したのはトランプ大統領つぶやいたとされる次の言葉だ。
すなわちトランプ大統領が、北朝鮮が日本全土をミサイルの射程に入れ、挑発をすすめている現状を受け、周辺に次のようにつぶやいたと秋田記者は書いている。
「こんな状況で、2020年に東京オリンピックをやるのか」と。
少なくともトランプ大統領には危機的状況にあることへの認識はある。
トランプ大統領にあきれ果てられるほど安倍首相には危機意識がないということである(了)
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