これだけ次々と疑惑が露見し、メディアが一斉に安倍夫妻の責任を口にし始めたというのに、一向に緊迫感が伝わってこないのはどういうことだろう。
昭恵夫人は蔵王で2泊3日の温泉スキーイベントに平気な顔をして参加し、安倍首相は自民党の全国幹事長会議で衆院選の結束を訴え、みずからが会長をつとめる保守系の超党派議員連盟「創生日本」の会合に出席して、必ず改憲したいと強気を崩さない。
嵐の前の静けさなのだろうか。
それとも、今の野党には安倍政権は倒せないと高をくくっているのだろうか。
私は後者だと思う。
国会質問を聞いてつくづくそう思う。
まるで野党の国会追及に迫力がない。
野党が国会質問で共闘し、何が何でも安倍首相の首を取るという気迫が感じられない。
国会追及の迫力とするどさは共産党がぴか一だ。
だからいっそのこと野党は安倍追及は共産党に一本化しろと私は訴えて来た。
しかし、それがまるでできていない。
野党は同じような質問を繰り返し、中には我々でもできるような素人質問に貴重な時間を費やして自己宣伝している。
これでは官僚組織に支えられた安倍自公政権を追い込むことは出来ない。
世論を味方につける事も出来ない。
やがて森友学園問題の追及はマンネリ化し、世論の関心は薄れ、トカゲの尻尾きりで終わる。
安倍夫妻は無傷のまま居座る事になる。
もし、そのような事になれば、安倍一強はさらに加速するだろう。
それを見透かしたように、安倍首相はまもなく欧州に外遊し、4月にはロシアを訪問し、5月にはイタリアサミットだ。
その外遊の合間を縫って、防衛費増と福祉切り捨ての予算は通り、共謀罪も天皇退位特別法もあっさり成立する。
アジアをめぐる国際情勢は緊迫し、日米軍事協力がどんどんと進む。
もちろん沖縄は切り捨てだ。
この国の野党では、そのような安倍暴政を止める力も、世論に訴える魅力もない。
憲法9条が変えられると、文字通り野党が存在する意味はなくなる。いまさら護憲もないからだ。
憲法9条がなくなれば日米軍事同盟が唯一の安保政策になるからだ。
いま日本の政治は、戦後70年余りの歴史の中で、大きな転換期を迎えている。
しかしそういう危機意識は、今の野党には全く感じられない。
深刻な政治状況である(了)
あなたは少し落ち着きなさい。
すぐに何でも自分の思うとおりに事態が進まないからといって、野党に八つ当たりはよくない。
こういうときこそ、じっくり腰を据えて状況を分析しなければならない。