ついこの間までは考えられないような危機的状況に世界はなってしまった。
いつ、どこで、あらたな戦争が起きてもおかしくない国際情勢だ。
どうでもいい小国の間の戦争ではない。
大国同士の戦争の危機だ。
そんな中で、世界最大の軍事覇権国である米国が、10月12日、ロシアを国際社会の脅威と決めつけ、中国を米国にとって唯一の競争相手国だと宣言した新たな国家安全保障戦略を発表した。
競争相手とごまかしているがその本心は敵国ということだ。
ツキジデスの罠にすっかりはまってしまった米国は、自国を凌ぐ中国を叩くしかないのだ。
この米国の新たな国家安全保障戦略の発表を知った岸田政権は、日本の安保関連3文書の改定作業を加速させるだろう。
実際のところ、麻生副首相や北側副代表による自公の安保関連3文書協議が始まった。
なにしろ、岸田首相は既にバイデン大統領に3文書の年内作成を約束している。
そして3文書の筆頭格である国家安全保障戦略という文書は、米国の国家安全保障戦略の真似をして呼び名まで同じにしたほどだ。
その内容も、米国の国家安全保障戦略にならって、ロシア、中国、北朝鮮を敵視し、軍事力強化で対抗するものになる事は間違いない。
野党は、2015年の安保法の時と同じく、憲法9条違反だ、敵基地攻撃は認められないといって反対する。
そしてあの時と同じように最後は強行採決されて終わる。
どうせそのような結末になるのなら、野党の中から一人でも、正論を唱えて岸田政権の間違った国家安全保障戦略を迎え撃つ論客が出てこないものか。
国会議事録に残る究極の安保論争が起こらないものか。
いや、自民党の中からこそ、正論を主張する者が出て来なくてはいけないのだ。
しかして、その正論とは何か。
それはこういう事だ。
すなわち、目覚ましい技術力の発展と、非人道的な無人機ミサイルの拡散・普及により、もはや軍事力強化で国家の安全が保障される時代は終わった。
我々はそれをロシアの侵攻とウクライナの反撃で目の当たりにした。
北朝鮮が、連日にわたって、戦術核搭載可能なミサイルの多様化と実現化を見せつけるようになった。
それに対する効果的な防衛手段が今の日本にはない事を、浜田防衛相も国会(13日の外務委員会他の連合審査会)で認め、ご丁寧に記者会見でも繰り返した。
中国に至っては米国と対抗できる軍事力を持つに至った。
そして、核使用の可能性を繰り返してほのめかすプーチンが仕掛けた核戦争のチキンゲームに、米国は打つ手がない。
万が一核兵器が使用されるようになればその時こそ第三次世界大戦になる。
それをバイデン大統領自身が認めた。
このような現実を前にして、もはや軍事力の強化では国の安全を守れない事は明らかだ。
脅威とは軍事力とそれを使う意思の二つがそろった時点で本物の脅威になる。
だから残された唯一の道は、攻撃する意思を持つような敵国をつくらないことだ。
言い換えれば、どんなに破壊的軍事力を持つ国でも、その国がそれを日本に使う意思を持たなければ脅威にならない。
敵国ではなくなる。
だから軍事力を日本に向けて行使しないよう、善隣友好外交を進めるべきなのだ。
これこそが憲法9条の求める外交・安保政策であって、いまの日本にとって最強で最善の安保政策だ。
間違っても日米同盟を強化して米国の核抑止力に頼らない事だ。
巨額を投じて日本の防衛力強化を優先させないことだ。
来るべき国会で、こう主張する政治家が一人でも出て来ないものかと思う。
私にそう思わせるほど危機的な今の世界情勢であり、それに対する、あまりにも危機意識のない今の日本である(了)
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