まず次の文章を読んでいただきたい。
・・・沖縄で大きな壁にぶつかり、苦難に見舞われたりするたびに、一部で「沖縄独立論」が頭をもたげるのは、(沖縄に)特異な歴史があるためだ。凄惨だった沖縄戦。27年間もの米軍統治。理想とは異なる日本復帰。なぜだと突き詰めると、明治の起点(琉球処分)が浮かび上がる。
崎間敏勝(さきまびんしょう)という人がいた。占領下の琉球政府でエリート官僚として要職を歴任した後、復帰直前の1971年参院選に「琉球独立党」として立候補した。
50年代末から旧コザ市長を4期務めた大山朝常(ちょうじょう)は、晩年の97年に「ヤマトは帰るべき祖国ではなかった」と主張する「沖縄独立宣言」を出版している。
「独立論は話題としては確かに面白い」と話すのは元沖縄県知事の稲嶺恵一さん(88)だ。「崎間さんは相当立派な方だったけど、得票はごくわずかだった。復帰運動に力のあった大山さんにしても独立論の影響は限られていた」
復帰に関する世論調査では、沖縄の若い世代ほど「良かった」という肯定感が強く、年代が上がるほど弱くなっていく傾向がみられた。沖縄にあこがれる移住者が増えて行くことからも、独立論が広がっていく状況にはない。
では、時間の経過とともに自然に消えていくものだろうか。本土側の無関心や安易な同情論がある限り、異議申し立ての突破口としては残ると思う・・・
以上は、5月18日付の毎日新聞に掲載された、古賀攻専門編集委員の書いた論評「水説」からの引用である。
きのうの沖縄知事選で、オール沖縄に支えられたデニー玉城知事が、辺野古移設反対を訴えて再選された。
予想されたとはいえ、喜ばしい事である。
しかし、当選したその日から、玉城知事は大きな難問に直面することになる。
それは決して辺野古移転反対問題ではない。
台湾有事だ。
辺野古移転の決着はまだ先の話だが、台湾有事は、ここ二、三年が勝負だ。
玉城知事の二期目の4年間に起きる可能性が極めて大きい。
しかも、沖縄の南西諸島には、既にそのための自衛隊基地がものすごい勢いでつくられている。
辺野古移設阻止どころではないのだ。
本物の戦争に巻き込まれる。
しかも相手は中国だ。
それだけは絶対にさけなければいいけない。
しかし、野党に支えられたオール沖縄では、どうにもならない。
沖縄独立の声が出て来なくてはウソだ。
しかも、古賀氏のいうような、異議申し立ての突破口としての、ガス抜きの政党ではなく、沖縄住民の生き残りをかけた民族自立としての政党だ。
どうすればいいのか。
それは、琉球独立党をつくって日本からの独立を目指すのではなく、オール沖縄という会派でない、「沖縄党」という民族自立の国政政党をつくって、しかも、連立政権の一角を占め、日本の政治を動かす事を目指すのだ。
沖縄が日本から逃げ出すのではなく、沖縄が日本を変えるのだ。
古賀氏の「水説」は、あたかもデニー玉城氏が再選された時に読ませるように書かれた論評だ。
しかし、古賀氏のいうような、異議申し立ての沖縄独立党では話にならない。
いまこそ沖縄が主役になる沖縄党をつくり、日本の政治を沖縄のものにするのだ。
再選後の玉城知事の任期中に、その機会が必ず来る。
そうである以上、動き出すのは、早ければ早いほどいい。
崎間敏勝や大山朝常の果たせなかった夢をかなえる沖縄人が出て来なくてはいけない(了)
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